大腿直筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)
大腿直筋(だいたいちょっきん)とは大腿前面の表層部で大腿部の前面にあり、大腿四頭筋の中心をなす筋肉で大腿四頭筋の中では唯一の二関節筋(にかんせつきん)です。
膝関節の伸展と股関節の屈曲に関与し、広筋群より瞬発的な動きへの貢献度が高い筋肉でもあります。
大腿直筋は腸骨の下前腸骨棘から膝蓋骨の底と両側縁に着き、膝蓋骨の前面を被いながら膝蓋靱帯となり、脛骨粗面に着きます。
他の三頭と共に膝関節の伸展させる働きを持ってますが、起始部が骨盤にあるために股関節の屈曲動作にも働きます。
しかし、下腿部の回旋や股関節の内転・外転動作にはほとんど関与しません。
大腿直筋の柔軟性が失われると起始である下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく)が引っ張られることになるので骨盤は前傾しやすくなります。
逆に大腿直筋の柔軟性が高かすぎたり、大殿筋やハムストリングス(大腿部の後面にある筋肉群)が硬すぎたりすると骨盤は後傾しやすくなります。
このように二関節筋である大腿直筋のコンディションの状態により骨盤の傾きは前傾になったり、後傾になったりと大いにその影響を受けてしまいます。
大腿直筋は他の広筋群に比べ瞬発的な動きへの貢献度が高い筋肉でもあります。
この筋肉は大腿四頭筋の他の筋肉とともにランニング、ジャンプ、ホップ、そしてスキップなどに大きく貢献します。
大腿直筋の起始停止
起始:腸骨の下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく)、寛骨臼(かんこつきゅう)の上縁
停止①:膝蓋骨上縁(しつがいこつじょうえん)
停止②:膝蓋腱を介して脛骨粗面(けいこつそめん)
大腿直筋の役割と作用
大腿直筋を支配する神経
大腿直筋を支配する神経は大腿神経(L2~L4)です。
日常生活動作
歩く動作や走る動作をはじめ多くの日常生活動作に関与します。
大腿直筋は股関節の屈曲筋でもあるのであまりこの筋肉が弱化すると腿を高く上げることができなくなります。
スポーツ動作
大腿直筋はランニングやダッシュ、ジャンプ動作などあらゆるスポーツ動作に大きく貢献します。
関連する疾患
大腿四頭筋拘縮症(だいたいしとうきんこうしゅくしょう)、オスグッド・シュラッター病、 ジャンパーズニー、ランナーズニー、下前腸骨棘裂離骨折(かぜんちょうこつきょくれつりこっせつ)、大腿直筋肉離れ(だいたいちょっきんにくばなれ)など
大腿直筋の筋力チェック方法
【実施方法】
- 患者さんをべットの端に座らせ、両膝を屈曲させます。左右どちらかの膝を伸展させた状態で(やや屈曲させるが)固定してもらいます。
- 術者は一方の手を大腿部の上に、もう一方の手は足首あたりに置きます。
- 術者はその位置より足首をベットに向けて圧迫を加えます。
【ワンポイント】
正しく測定するためには患者さんは足首の角度を90度に保つ必要があります。
内側広筋、外側広筋の筋力差を調べる場合は股関節を内外旋させた状態で検査を行います。
【論考】
この検査を左右両方で実施します。弱いと感じた側の大腿四頭筋(広筋)が弱化している可能性があります。
大腿四頭筋の片側だけ弱いと弱い側の骨盤がPI(後下方)変位し、更に弱い側の骨盤が沈下します。
両側が弱いとフラットバックの原因になります。
【神経リンパ反射】
- 膝のすぐ上から大腿内側の約10cm、T8~T11の椎間板間
【臓器・腺】
小腸
【大腿四頭筋(中間広筋・内側広筋・外側広筋)・ハムストリング(半膜様筋・半腱様筋・大腿二頭筋)・内転筋群(恥骨筋・大内転筋・長内転筋・短内転筋・薄筋)・大腿筋膜張筋・縫工筋・膝窩筋】