腸腰筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)
腸腰筋(ちょうようきん)とは大腰筋(だいようきん)と腸骨筋(ちょうこつきん)の総称した呼び名です。
腸腰筋は大腿直筋(だいたいちょっきん)、縫工筋(ほうこうきん)らと伴に主に股関節の屈曲動作に関与する筋肉です。
英語名称
iliopsoas muscle (イリオソウァス・マッスル)
腸腰筋の解説
腸腰筋(ちょうようきん)は股関節屈筋の一つで腸骨筋(ちょうこつきん)と大腰筋(だいようきん)そして小腰筋の3つを総称した呼び名です。
腸腰筋は大腿直筋(だいたいちょっきん)と共に股関節を屈曲させる最も重要な筋肉です。
もし、この腸腰筋が働かないと足を上手く持ち上げることができなくなってしまうので階段を昇る際に足先が引っかかるようになってしまいます。腸骨筋は腸骨窩(ちょうこつか)及び下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく)から起始し、大腰筋との共同腱によって大腿骨小転子(だいたいこつしょうてんし)に停止します。
一方、大腰筋は第12胸椎から第4腰椎の椎体・肋骨突起、第1~第5腰椎肋骨突起から起始し、腸骨筋と同じく腸骨筋と共同腱によって大腿骨小転子に停止します。
小腰筋は大腰筋からの分束で、半数以下の人にしか存在しない筋肉と言われており、股関節の屈曲にも補助的にしか働かないのでその貢献度は極めて低い筋肉と言えます。
腸腰筋の起始部は腰部や腸骨窩にあるのでこれらの筋肉が過度に硬いと骨盤が前傾してしまい、それに伴い腰椎の前弯が高まります。
このことにより腰椎の椎骨が前方へとズレが生じるので、これが原因で腰痛になってしまうことがあります。
仰向けになった状態での脚の挙上は基本的に股関節の屈曲動作なので主に腸腰筋をはじめとした股関節屈筋群(腸腰筋、大腿直筋、縫工筋など)が作用するので、厳密にいうと体幹への運動効果はあまり期待はできません。
腰椎が前弯している(腰の反りが強い)方がもしこの手のエクササイズを行ったとすると腰を痛める可能性が高いのであまりお勧めすることはできません。
もし、レッグレイズ・ウィズソフトギムなどのエクササイズを行うのであれば前提条件として予め腹直筋の強さが要求されます。
腹直筋が働くことで骨盤の後傾が保たれるのでレッグレイズを行っている間も腰部の平らにキープすることができるので安全にレッグレイズができるのです。
もしこのエクササイズを取り組むのであれば最初は膝を曲げて行い、筋力の増加に伴って膝を伸ばして行うと安全で効果的なトレーニングができます。
腸腰筋のストレッチを行う際は腰が反り過ぎないように股関節の伸展させ、更に内旋動作を加えることでより効果的にストレッチを行うことができます。
各筋肉の詳細につきましては下記からご確認ください。
腸腰筋の主な働き
運動動作においては股関節の屈曲(前屈)、外旋動作に関与しています。
日常生活動作
腸骨筋とともに太ももを上げたりする動作に関与します。
スポーツ動作
ランニングや階段をのぼる、サーカーでボールを蹴る動作に大きく貢献します。
関連する疾患
股関節屈曲拘縮(こかんせつくっきょくこうしゅく)、慢性腰痛(まんせいようつう)、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)、化膿性腸腰筋炎(かのうせいちょうようきんえん)
代表的なウエイトトレーニングとストレッチ
その他の腹部・腰部の筋肉
【腹直筋・腹斜筋群(外腹斜筋・内腹斜筋)・腸骨筋・大腰筋・小腰筋・腹横筋・腰方形筋・脊柱起立筋(胸腸肋筋・腰腸肋筋・胸最長筋・胸棘筋・多裂筋)・横隔膜・下後鋸筋・骨盤底筋群】