内肋間筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)
内肋間筋(ないろっかんきん)とは文字通り肋骨と肋骨の間を走行している筋肉です。外肋間筋の裏側にある呼吸筋の一つで、筋線維の走行が外肋間筋とは反対です。英語では「internal intercostal muscle」と呼ばれます。
内肋間筋は息を強く吐くときに活躍する強制呼気の主役筋で、咳・くしゃみ・歌唱・楽器演奏・激しい運動時の呼気を支える重要な筋肉です。
この記事では、次のような疑問にお答えします。
・内肋間筋の正しい起始停止・作用は?
・外肋間筋とどう違う?
・安静呼気と強制呼気の違いは?
・歌唱・楽器演奏で重要なのはなぜ?
例え話で言うと、内肋間筋は「胸郭を絞り込むベルト」のような存在です。広がった胸郭を内側に引き締めるように働き、肺の空気を勢いよく押し出します。
英語名称
internal intercostal muscle(インターナル・インターコスタル・マッスル)
「internal(内側の)」+「intercostal(肋骨の間の)」で構成された名称です。
内肋間筋の解説
内肋間筋(ないろっかんきん)は文字通り肋骨と肋骨の間を走行している筋肉です。外肋間筋の裏側にある呼吸筋の一つで、筋線維の走行が外肋間筋とは反対です。
内肋間筋は第1〜第11肋骨の内面の縁・肋軟骨から起始し、第2〜第12肋骨(下位の肋骨の下縁)に停止します。
筋線維は斜め後下方に走行し、外肋間筋(斜め前下方)と交差する方向を取ります。この走行が、肋骨を引き下げる作用を生み出す解剖学的な仕掛けです。
内肋間筋は主に胸郭を狭くする働きに貢献する筋肉なので、息を吐く際に活躍します。
このように内肋間筋は胸式呼吸(きょうしきこきゅう)の際、ガス交換が上手くできるようにするための筋肉です。
外肋間筋と内肋間筋の違い
両者の違いを整理:
外肋間筋(吸気の主役)
・位置:表層(皮膚に近い)
・筋線維:斜め前下方
・作用:肋骨を挙上・胸郭を拡大
・働く場面:息を吸う時
内肋間筋(強制呼気の主役)
・位置:深層(外肋間筋の下)
・筋線維:斜め後下方(外肋間筋と交差)
・作用:肋骨を引き下げ・胸郭を縮小
・働く場面:強く息を吐く時
両者が直交する走行で、胸郭を巧みに開閉させています。
安静呼気と強制呼気の違い
呼気には2種類あります:
安静呼気(普通に息を吐く)
・筋肉はほとんど働かない
・胸郭の自然な弾性収縮で空気が出る
・横隔膜が緩んで肺が縮む
強制呼気(強く吐く・咳・歌唱)
・内肋間筋が積極的に活動
・腹筋群(特に腹横筋・腹斜筋)も連携
・短時間で大量の空気を押し出す
つまり、普段の呼吸ではあまり活躍しない内肋間筋ですが、「強く吐く」場面で一気にその真価を発揮するのです。
起始
第1〜第11肋骨の内面の縁・肋軟骨
停止
第2〜第12肋骨(下位の肋骨の下縁)
外肋間筋とは異なり、下の肋骨の下縁に停止します。この停止位置の違いが、引き下げ作用を生む鍵です。
内肋間筋の主な働き
肋骨間を収縮させ、胸郭を下制させる働きがあります。
具体的には:
・強制呼気時の肋骨引き下げ(胸郭を縮める)
・胸郭の前後径・左右径の縮小
・咳・くしゃみ時の急激な呼気
・歌唱・発声時の息のコントロール
・運動時の激しい呼気
・体幹の捻り動作の補助
吸った息を「勢いよく押し出す」役割が内肋間筋の真骨頂です。
内肋間筋を支配する神経
肋間神経(T1〜T11)
各肋間に対応した肋間神経が支配しています。胸髄から出る神経で、外肋間筋と同じ神経支配です。
日常生活動作
胸郭を収縮させ、胸式呼吸を行う際に大きく貢献します。
具体的には:
・咳・くしゃみ
・強く息を吐く動作(風船を膨らます、ろうそくを吹き消す)
・会話・歌唱
・激しい運動時の呼気
・笑い声を出す動作
普段は意識しませんが、「ふー」と強く吐く動作の裏で内肋間筋が活躍しています。
歌手・吹奏楽奏者にとっての内肋間筋の重要性
歌手・声楽家・吹奏楽奏者・管楽器奏者にとって、内肋間筋はパフォーマンスを左右する重要筋です。
① 長いフレーズを歌う
息を一定の圧で安定して送り出すには、内肋間筋による細かな呼気コントロールが必要。
② 強弱の表現
ピアニッシモ(弱音)からフォルテ(強音)までの幅広い音量変化は、内肋間筋と腹筋群の連携で実現。
③ ヴィブラートやロングトーン
息を細く長く吐く技術は、内肋間筋の持久力に依存。
④ 管楽器のアンブシュア
楽器に息を吹き込む際の圧力コントロールに内肋間筋が貢献。
声楽・ボイトレでは「支え(アッポッジョ)」と呼ばれる呼吸法があり、これは内肋間筋を含む呼吸筋群を意識的にコントロールする技術です。
内肋間筋を活性化するエクササイズ
① 息を吐ききるエクササイズ
ゆっくり息を吸ってから、口をすぼめて10〜15秒かけて細く長く吐く。最後まで吐ききることを意識。
② ストロー呼吸
ストローをくわえて細く長く息を吐く練習。歌手のボイトレでも用いられる方法で、内肋間筋に持久力をつけられます。
③ ロングトーン
「あー」と一定の音量で長く声を出し続ける。歌唱や朗読の前のウォームアップとしても有効。
④ 体幹の捻りストレッチ
体を左右に大きく捻ると、内肋間筋・外肋間筋の両方が伸ばされて柔軟性が高まります。
⑤ 風船を膨らます
風船を1日数回膨らますシンプルな運動も、内肋間筋と腹筋群を同時に鍛えられます。
関連する疾患
① 肋間神経痛
内肋間筋を支配する肋間神経の痛み。胸や脇腹のピリピリした痛みが特徴。
② 肋骨骨折・打撲
外傷で内肋間筋にも損傷が及び、咳や深呼吸で激しい痛みが出ます。
③ 慢性呼吸器疾患(COPD・喘息)
呼気が困難になる疾患では内肋間筋が過剰に働き、慢性疲労状態に。
④ 呼吸筋疲労
長時間の歌唱や激しい運動で内肋間筋が疲労すると、息切れや声のかすれの原因になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 内肋間筋と外肋間筋は同時に働く?
基本的には逆の役割(呼気vs吸気)を担うため、同時には働きません。ただし体幹の安定化では両者が協働します。
Q2. 普段の呼吸で内肋間筋は使われている?
安静呼気時はほとんど使われていません。強く吐く時、咳・くしゃみ、歌唱、運動時に主に活躍します。
Q3. 歌や楽器のために内肋間筋を鍛えたい
ストロー呼吸・ロングトーン・息を吐ききるエクササイズがおすすめ。歌手のボイトレで実際に使われる方法です。
Q4. 咳をすると胸が痛いのは内肋間筋?
可能性はあります。肋間筋の疲労・筋膜性疼痛・肋骨骨折などが原因として考えられます。続く場合は整形外科や呼吸器内科を受診してください。
Q5. 内肋間筋と腹筋の関係は?
強制呼気では内肋間筋と腹横筋・腹斜筋が連携。お腹を絞る動きで横隔膜が押し上げられ、内肋間筋が肋骨を引き下げて空気を勢いよく押し出します。
Q6. 浅い呼吸を改善するには内肋間筋も鍛える?
吸気側の外肋間筋だけでなく、吐き切る力も重要です。内肋間筋を鍛えることで、次の吸気がより大きくなり、呼吸全体が深まります。
まとめ
内肋間筋について解説してきた内容を整理します。
・第1〜第11肋骨内面・肋軟骨から起こり、下位肋骨の下縁に停止
・筋線維は斜め後下方に走行(外肋間筋と交差)
・主作用は肋骨を引き下げて胸郭を縮小(強制呼気)
・支配神経は肋間神経(T1〜T11)
・外肋間筋とは作用が真逆(外=吸気、内=呼気)
・咳・歌唱・楽器演奏で重要な役割
・ストロー呼吸・ロングトーンで活性化
内肋間筋は普段意識されない筋ですが、強い呼気・歌唱・楽器演奏で活躍する重要な呼吸筋です。声楽・吹奏楽をされる方、慢性的な息切れにお悩みの方は、内肋間筋を意識した呼吸エクササイズを習慣にしてみてください。
【三角筋・広背筋・大円筋・ローテーターカフ(小円筋・棘上筋・棘下筋・肩甲下筋)・僧帽筋(僧帽筋上部線維・僧帽筋中部線維・僧帽筋下部線維)・前鋸筋・肩甲挙筋・菱形筋群(大菱形筋・小菱形筋)】
内肋間筋クイズ(全7問)
起始・停止・作用などを4択で確認。覚えたかチェックしよう。
問題文
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参考文献・出典
・Wikipedia「内肋間筋」https://ja.wikipedia.org/wiki/内肋間筋
・看護roo!「内肋間筋」https://www.kango-roo.com/word/20008
・日本呼吸器学会「呼吸器の構造と機能」https://www.jrs.or.jp/
・厚生労働省 e-ヘルスネット「呼吸器疾患」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/




