腹斜筋群の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)
腹斜筋群(ふくしゃきんぐん)とは側腹部の表層部にある筋肉群で外腹斜筋(がいふくしゃきん)と内腹斜筋(ないふくしゃきん)とで構成されています。英語では「abdominal oblique muscle」と呼ばれます。
内腹斜筋は腹部の深層にあり、外腹斜筋は腹部の表層にあります。腹斜筋群は主に体幹部の回旋動作・屈曲・側屈動作に関与し、ウエストのくびれを作る筋肉として、ボディメイクでも極めて重要です。
この記事では、次のような疑問にお答えします。
・腹斜筋群の正しい起始停止・作用は?
・外腹斜筋と内腹斜筋の違いは?
・くびれを作るには?
・体幹回旋スポーツでなぜ重要?
例え話で言うと、腹斜筋群は「腹部を斜めにX字で固める2層構造のコルセット」のような存在です。外腹斜筋と内腹斜筋が斜め方向に交差して走り、ウエストを引き締めると同時に体幹を捻る動作を生み出します。
英語名称
abdominal oblique muscle(アブドミナル・オブリーグ・マッスル)
「abdominal(腹の)」+「oblique(斜めの)」で構成された名称。
腹斜筋群の解説
腹斜筋群(ふくしゃきんぐん)は外腹斜筋・内腹斜筋で構成され、表層部は外腹斜筋・深層部には内腹斜筋が存在します。
腹斜筋群は運動動作においては主に体幹部の回旋動作・屈曲・側屈に関与します。
左右両側の筋肉が同時に作用した場合は腹直筋と共に体幹部の屈曲動作に関与します。例えば、両手を頭の後ろで組んで腹筋運動をするとき、左肘が右膝にタッチ(右回旋)するようなときは左の外腹斜筋と右の内腹斜筋が非常に強く収縮されます。
逆に腰を左に回旋させながら行えば、右の外腹斜筋と左の内腹斜筋をより鍛えることができます。
また、腹斜筋群は腹直筋や腹横筋・腰方形筋らと共に腹圧や排便を助けたり、内臓の位置の安定にも関わるとても重要な役割を果たしている筋肉です。
各筋肉の詳細につきましては下記からご確認ください。
外腹斜筋と内腹斜筋の役割分担|斜めに交差する2層構造
腹斜筋群の2つの筋は、繊維の走行方向が違うため役割が分担されます:
外腹斜筋(表層)
・「ポケットに手を入れる方向」に繊維が走る
・同側の側屈+反対側への回旋
・例:右の外腹斜筋→右側屈+左への体幹回旋
・腹斜筋群で最も大きい
内腹斜筋(深層)
・外腹斜筋と直角に交差する方向に繊維が走る
・同側の側屈+同側への回旋
・例:右の内腹斜筋→右側屈+右への体幹回旋
体幹回旋のペア:
・右への回旋:左の外腹斜筋+右の内腹斜筋
・左への回旋:右の外腹斜筋+左の内腹斜筋
この「斜めに交差する2層構造」が腹部を強固に固めるナチュラルコルセットとして機能します。
くびれを作るメカニズム|腹斜筋群とウエストの関係
「ウエストのくびれ」は多くの女性・男性の理想的な体型ですが、これには腹斜筋群が大きく関わります。
くびれの構造:
・外腹斜筋がウエストの側面に位置
・適度に発達するとウエストが引き締まる
・厚みのある内腹斜筋+腹横筋が深部からウエストを締める
くびれを作る3つのポイント:
① 腹斜筋群の発達(適度に)
ツイスティングシットアップなど体幹回旋を伴うトレーニング。ただし過度な発達はウエストを太くするため要注意。
② 腹横筋の強化(最も重要)
ドローインなどで深層の腹横筋を強化。ウエスト全体を内側から引き締めます。
③ 体脂肪率を下げる
脂肪が乗っていてはくびれは見えません。女性は20%以下、男性は15%以下を目指す。
注意点:
過度なサイドベンド(重量を使った側屈)は外腹斜筋を太くしてウエストを広く見せることがあります。くびれを目的とするなら:
・低重量・高回数の回旋トレーニング
・ドローイン・プランクの優先
・有酸素運動で体脂肪減
くびれは「腹斜筋を鍛えるだけ」では作れず、総合的なアプローチが必要です。
スポーツでの体幹回旋|投球・スイングの主役
腹斜筋群は体幹回旋を伴うスポーツでパフォーマンスの中核を担います:
体幹回旋がパワーを生むメカニズム:
・下半身からの力を上半身へ伝える
・腹斜筋群がトルクを生成
・腕・道具に伝わってパワーになる
特に重要なスポーツ:
・野球(投球・バッティング)
・ゴルフ(スイング)
・テニス・バドミントン(ストローク・スマッシュ)
・格闘技(パンチ・キックの体幹)
・陸上競技(投擲種目・走動作)
プロ野球選手の球速・打球速度、ゴルファーの飛距離などは腹斜筋群の機能と密接に関連します。スポーツのパフォーマンスアップを目指すなら、腹斜筋群のトレーニングは必須です。
腹斜筋群の主な働き

運動動作においては主に体幹部の回旋動作・屈曲(前屈)・側屈に関与します。
主な役割:
・体幹の回旋(主作用、スイング・投球の主役)
・体幹の屈曲(両側収縮で)
・体幹の側屈
・腹圧の維持(呼気・排便)
・内臓の位置安定
・ウエストの引き締め
腹斜筋群を支配する神経
肋間神経(T5〜T12)、腸骨下腹神経(L1)、腸骨鼠径神経(L1)
胸髄・腰髄レベルの複数の神経に支配されます。
日常生活動作
姿勢保持や身体を側屈・回旋させる作用を持ちます。また、胸郭を引き下げる作用もあるので息を吐く動作に関与します。
具体的には:
・姿勢の保持
・振り返る動作
・横向きに寝返る動作
・咳・くしゃみ
・息を強く吐く動作(吹奏楽など)
・笑う動作
呼吸補助筋としての役割も重要です。
スポーツ動作
身体を捻るすべてのスポーツ動作に大きく貢献します。
体幹回旋の力強さ・スピードがパフォーマンスを左右します。
関連する疾患
脊髄損傷、頸髄症性不全四肢麻痺、慢性腰痛など
① 慢性腰痛
腹斜筋群を含む体幹筋の弱化で、腰椎への負担が増加。慢性腰痛の原因に。
② 鼠径ヘルニア
腹斜筋群と腹横筋の腱膜の隙間(鼠径管)から腸が脱出する疾患。男性に多く、腹圧上昇で発症リスクが上がります。
③ 側腹筋肉離れ
野球・ゴルフなどの強い体幹回旋で外腹斜筋・内腹斜筋に肉離れが発生。プロ野球選手の故障で頻出。
④ 脊髄損傷
体幹筋の麻痺で姿勢保持・回旋動作が困難に。
代表的なウエイトトレーニングとストレッチ

腹斜筋群のスタティックストレッチ
腹斜筋群を効果的に鍛えるポイント
① ツイスティングシットアップ(基本)
シットアップ動作に体幹回旋を加える。左肘→右膝、右肘→左膝を交互に。10〜15回×3セット。
② バイシクルクランチ
仰向けで自転車を漕ぐような動作。腹斜筋群の左右を交互に強く刺激。
③ サイドプランク
横向きに肘で身体を支える。30秒〜1分。深層の内腹斜筋+腹横筋を強化。
④ ロシアンツイスト
座位で膝を曲げ、上半身を後ろに倒した状態で体幹を左右に回旋。重りを持つと効果UP。
⑤ ウッドチョッパー
ケーブルやダンベルを使って斜めに振り下ろす動作。スポーツの体幹回旋に直結。
くびれを作りたい人へのアドバイス:
・低重量・高回数で実施
・サイドベンドは控えめに(外腹斜筋の肥大注意)
・ドローイン・プランクを併用
腹斜筋群のストレッチ・セルフケア
①立位の側屈ストレッチ
両手を頭上で組み、ゆっくり身体を左右に倒す。15〜30秒×左右。
②座位の体幹回旋ストレッチ
椅子に座って上半身を左右にゆっくり捻る。デスクワーク中の合間にも有効。
③仰向け膝倒しストレッチ
仰向けで両膝を立て、両膝を左右にゆっくり倒す。腹斜筋群を伸ばします。
④温める
蒸しタオルやお風呂で側腹部を温めると緊張緩和に。
よくある質問(FAQ)
Q1. 外腹斜筋と内腹斜筋の違いは?
両者とも腹斜筋群を構成しますが、外腹斜筋は表層・大きな筋、内腹斜筋は深層・小さな筋。繊維走行が直角に交差し、外腹斜筋は反対側回旋、内腹斜筋は同側回旋に作用。
Q2. 腹斜筋を鍛えるとくびれができる?
適度な鍛え方ならくびれ作りに有効ですが、過度なサイドベンドはウエストを太くすることも。低重量・高回数+腹横筋トレ+体脂肪減の総合アプローチが必要。
Q3. プロ野球選手の側腹部痛とは?
腹斜筋群の肉離れの可能性。投球・打撃で強い体幹回旋を繰り返すため発症しやすく、長期離脱の原因に。早期診断・治療が重要。
Q4. デスクワークで腰や脇腹が痛い時は?
腹斜筋群の弱化・緊張の可能性。ストレッチ+姿勢改善+プランクがおすすめ。続く場合は整形外科を受診。
Q5. ゴルフの飛距離を伸ばすには?
腹斜筋群の体幹回旋筋力+スピードが決定的に重要。ロシアンツイスト・ウッドチョッパーで強化を。
Q6. 腹斜筋を鍛える頻度は?
週2〜3回がおすすめ。腹直筋トレーニングと組み合わせると効率的。
まとめ
腹斜筋群について解説してきた内容を整理します。
・外腹斜筋(表層)+内腹斜筋(深層)の2層構造
・繊維が斜めに交差するナチュラルコルセット
・主作用は体幹の回旋+屈曲+側屈
・支配神経は肋間神経(T5〜T12)+腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経(L1)
・ウエストのくびれに関わる重要筋
・投球・スイングなどスポーツの体幹回旋主役
・ツイスティングシットアップ・サイドプランクで強化
・側腹筋肉離れ・鼠径ヘルニアと関連
腹斜筋群は見た目のくびれ、スポーツのパフォーマンス、姿勢保持のすべてに関わる重要な筋群です。理想のウエスト、スイング動作の向上を目指す方は、外腹斜筋・内腹斜筋を意識して総合的に鍛えていきましょう。
その他の腹部・腰部の筋肉
【腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腸腰筋(腸骨筋・大腰筋・小腰筋)・腹横筋・腰方形筋・脊柱起立筋(胸腸肋筋・腰腸肋筋・胸最長筋・胸棘筋・多裂筋)・横隔膜・下後鋸筋・骨盤底筋群】
腹斜筋群クイズ(全7問)
構成筋・作用・神経支配などを4択で確認。覚えたかチェックしよう。
問題文
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参考文献・出典
・Wikipedia「外腹斜筋」https://ja.wikipedia.org/wiki/外腹斜筋
・Wikipedia「内腹斜筋」https://ja.wikipedia.org/wiki/内腹斜筋
・看護roo!「腹斜筋」https://www.kango-roo.com/word/20092
・厚生労働省 e-ヘルスネット「体幹トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・rehatora.net「腹斜筋群の解剖と機能・触診」https://rehatora.net/




