目次
腹直筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)
腹直筋(ふくちょくきん)とは体幹部を前屈、側屈、回旋させる筋肉です。
また、お腹の中の臓器を保護し、腹圧の維持、臓器の位置の固定、更に腹圧を増し、排便・分娩・嘔吐・咳などといったことにも関与します。
英語名称
rectus abdominis muscle (レクタス・アブドミニス・マッスル)
腹直筋の解説
腹直筋(ふくちょくきん)は腹部前面にある平たく長い筋で、白線の両側を縦走し腹直筋鞘に包まれています。
腹直筋は上は狭く下は広い多腹筋で、恥骨結合と恥骨陵から起始し、第5~7肋軟骨および剣状突起の前面に停止します。
比較的やせていて腹筋が発達している人では明瞭に3~4個の腱が腹部の筋腹を4~5節に分けているのを確認することができます。腹直筋は骨盤の傾斜角をコントロールする筋肉としても知られています。
腹直筋がバランスよく発達している人では骨盤は適度な前傾(骨盤が前に傾いている)が保たれているものですが、腹直筋が極度に弱いと骨盤の前傾が強くなりすぎて腰が反ったように見えます。
これを腰椎前湾症(ようついぜんわんしょう)といいます。
反対に腹直筋が過度に強すぎると骨盤が後傾するようになり、結果として腰部がまっすぐになります。
これをフラットバックといいます。
勿論、拮抗筋同士の兼ね合いもあるので必ずしも腹直筋が弱いから腰椎前湾症、腹直筋が強いからフラットバックになるというわけではありません。
腹直筋はこのように骨盤の傾斜角に大きく関わりのある筋肉ですが、本来の働きは主に体幹部の屈曲(前屈)をメインとし、側屈、回旋動作にも貢献します。
また、その他にも腹腔臓器を保護し、腹圧の維持と臓器の位置の固定、更に腹圧を増し、排便・分娩・嘔吐・咳などにも働きます。
腹直筋を鍛えるにはシット・アップ、レッグレイズ、クランチャーなど多くのエクササイズがあります。
シットアップ、レッグレイズなどは特に動きの後半あたりで股関節の屈曲動作も伴ってくるので純粋な腹筋運動とは呼べません。
その点、クランチャーは腹直筋に対して直接働きかけますので、非常に安全で、効果的なエクササイズと言えるでしょう。
腹直筋は腰椎と胸椎の両方を同時に伸展させることによってストレッチを行うことができます。
この状態でさらに股関節を伸展させると、骨盤の前傾が強調されるので腹直筋はよりストレッチされることになります。
そういう意味ではバランスボールの上で仰向けに寝るストレッチは腹直筋をストレッチするには最適な方法と言えるでしょう。
起始
恥骨稜、恥骨結合、恥骨結節の下部
停止
剣状突起、第5~第7肋軟骨の外面、肋剣靭帯(ろくけんじんたい)
腹直筋の主な働き
腹直筋を支配する神経
肋間神経(胸腹神経)(T5〜T12)
日常生活動作
仰向けの状態から身体を起こしあげるときや姿勢保持などに関与します。
スポーツ動作
ほとんど全てのスポーツ動作において使用されます。
関連する疾患
脊髄損傷、頸髄症性不全四肢麻痺、慢性腰痛など
代表的なウエイトトレーニングとストレッチ
その他の腹部・腰部の筋肉
【腹斜筋群(外腹斜筋・内腹斜筋)・腸腰筋(腸骨筋・大腰筋・小腰筋)・腹横筋・腰方形筋・脊柱起立筋(胸腸肋筋・腰腸肋筋・胸最長筋・胸棘筋・多裂筋)・横隔膜・下後鋸筋・骨盤底筋群】