内腹斜筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)
内腹斜筋(ないふくしゃきん)とは側腹部の深層部にある筋肉です。英語では「abdominal internal oblique muscle」と呼ばれます。
内腹斜筋は主に体幹部の回旋・屈曲・側屈に関与する筋肉です。外腹斜筋の真下に位置し、両者が交差してナチュラルコルセットを形成、体幹の安定とパフォーマンスの中核を担う重要な筋肉です。
この記事では、次のような疑問にお答えします。
・内腹斜筋の正しい起始停止・作用は?
・外腹斜筋とどう違う?
・体幹安定・コアにとってなぜ重要?
・腹横筋とどう協働する?
例え話で言うと、内腹斜筋は「肋骨を引き下げる斜めの安定装置」のような存在です。骨盤から肋骨に向かって斜め上方に走り、外腹斜筋とX字に交差することで腹部を強固に固める働きをします。
英語名称
abdominal internal oblique muscle(アブドミナル・インターナル・オブリーグ・マッスル)
「internal(内側の)」+「oblique(斜めの)」で構成された名称。略称はIO。
内腹斜筋の解説
内腹斜筋(ないふくしゃきん)は側腹部の深層部にある筋肉で外腹斜筋に覆われています。
内腹斜筋は胸腰筋膜深葉・上前腸骨棘・鼡径靭帯・腸骨稜の中間線から起始し、第10〜第12肋骨の下縁(上部)・腹直筋鞘(中部)・精巣挙筋(下部)に停止します。
運動動作においては主に体幹部の回旋動作・屈曲・側屈に関与します。
内腹斜筋は左右両側の筋肉が同時に作用した場合は腹直筋と共に体幹部の屈曲動作に関与します。左右どちらか一方のみ働いた場合は体幹部の側屈・回旋動作に大きく貢献します。
例えば、両手を頭の後ろで組んで腹筋運動をするとき、左肘が右膝にタッチするように腰を右に回旋させ、捻りながらこのエクササイズを行えば、右の内腹斜筋が非常に強く収縮されます。
逆に、腰を左に回旋させながら行えば、左の内腹斜筋をより鍛えることができます。
また、内腹斜筋は他の腹部の筋群とともに腹圧や排便を助けたり、内臓の位置の安定にも関わるとても重要な役割を果たしている筋肉です。
内腹斜筋と外腹斜筋の繊維走行の違い
内腹斜筋を理解するうえで、外腹斜筋との繊維走行の違いが重要です:
内腹斜筋(深層)
・繊維は「外下方→内上方」へ走る
・骨盤から肋骨に向かって斜め上方
・一方が働くと同側への回旋+同側への側屈
・例:右の内腹斜筋→右への体幹回旋+右側屈
外腹斜筋(表層)
・繊維は「外上方→内下方」へ走る
・肋骨から骨盤に向かって斜め下方
・一方が働くと反対側への回旋+同側への側屈
体幹回旋のペア:
・右への回旋:右の内腹斜筋+左の外腹斜筋
・左への回旋:左の内腹斜筋+右の外腹斜筋
両者はX字状に交差して走り、強固な腹部の支えを生み出します。
ナチュラルコルセット|体幹安定の中核
内腹斜筋を語る上で外せないのが、「ナチュラルコルセット」としての役割です。
ナチュラルコルセットとは
コルセット(補正下着)のように腹部を内側から強固に固める筋群のこと。腹横筋・内腹斜筋・多裂筋・骨盤底筋が中核を担います。
内腹斜筋のコルセット機能:
・腹圧の維持(腹腔内圧)
・腰椎の安定化
・内臓の位置固定
・体幹の回旋・側屈の制御
ナチュラルコルセットが弱いとどうなる?
・慢性腰痛
・ぽっこりお腹
・姿勢の崩れ
・運動パフォーマンスの低下
・内臓下垂
「コアトレーニング」「インナーマッスル」が叫ばれる背景には、このナチュラルコルセットの機能低下があります。
コアトレーニングの重要性:
スポーツ・日常生活すべての動作の基盤となるのが体幹の安定。腕や脚を動かす前に体幹が安定していないと、力が逃げてパフォーマンスが上がりません。内腹斜筋の強化は、コア機能の向上に直結します。
内腹斜筋と腹横筋|深層の協働関係
内腹斜筋は腹横筋と密接に協働します:
腹横筋(最深層)
・横方向の繊維
・純粋に腹圧を上げる役割
・ドローイン・腹式呼吸の主役
内腹斜筋(腹横筋の上)
・斜め上方の繊維
・腹圧+体幹回旋・側屈
・腹横筋と協働して腹部を引き締める
両者は「深層腹筋ユニット」として連動し、姿勢制御・腰痛予防・スポーツパフォーマンスの基盤を作ります。
ドローイン(おへそを背中に引き寄せる動作)は両者を同時に活性化する優れたトレーニング法です。
起始
- 胸腰筋膜深葉、上前腸骨棘
- 鼡径靭帯(そけいじんたい)
- 腸骨稜(ちょうこつりょう)の中間線
骨盤・腰椎周辺の複数の部位から起こります。
停止
- 第10〜12肋骨の下縁(上部)
- 腹直筋鞘(中部)
- 精巣挙筋(下部)
骨盤から肋骨に向かって扇状に広がります。
内腹斜筋の主な働き

運動動作においては主に体幹部の回旋動作・屈曲(前屈)・側屈に関与します。
主な役割:
・体幹の同側回旋(主作用)
・体幹の同側側屈
・体幹の屈曲(両側収縮で)
・腹圧の維持(ナチュラルコルセット)
・体幹の安定化(コア機能)
・呼気の補助
内腹斜筋を支配する神経
肋間神経(T5〜T12)、腸骨下腹神経(L1)、腸骨鼠径神経(L1)
胸髄・腰髄レベルの複数の神経に支配されます。
日常生活動作
外腹斜筋とともに姿勢保持や身体を側屈・回旋させる作用を持ちます。また、胸郭を引き下げる作用もあるので息を吐く動作に関与します。
具体的には:
・姿勢の保持
・振り返る動作
・横向きに寝返る動作
・咳・くしゃみ
・息を強く吐く動作(歌唱・吹奏楽など)
・排便動作
地味ですが日常生活の質を支える筋肉です。
スポーツ動作
身体を捻るすべてのスポーツ動作に大きく貢献します。
特に重要なスポーツ:
・野球(投球・打撃の体幹回旋)
・ゴルフ(スイング)
・テニス・バドミントン
・体操・ダンス
・武道・格闘技
外腹斜筋とペアで体幹回旋のトルクを生み出します。
関連する疾患
脊髄損傷、頸髄症性不全四肢麻痺、慢性腰痛など
① 慢性腰痛
内腹斜筋を含むナチュラルコルセットの弱化で、腰椎への負担が増加。コアトレーニングが予防・改善の鍵。
② 側腹筋肉離れ
野球・ゴルフの強い体幹回旋で内腹斜筋にも肉離れが発生することがあります。
③ 鼠径ヘルニア
内腹斜筋・腹横筋の腱膜の弱化が一因となることも。
④ 脊髄損傷
体幹筋の麻痺で姿勢保持・体幹安定が困難に。
代表的なウエイトトレーニングとストレッチ

内腹斜筋のスタティックストレッチ
内腹斜筋を効果的に鍛えるポイント
① ツイスティングシットアップ
シットアップに体幹回旋を加える。右肘→右膝のように同側に捻ると内腹斜筋を強く刺激。10〜15回×3セット。
② サイドプランク
横向きに肘で身体を支える。30秒〜1分。深層の内腹斜筋+腹横筋を最も効率的に強化する種目。
③ ドローイン
おへそを背中に引き寄せる動作で、内腹斜筋+腹横筋を活性化。10秒キープ×10回。
④ デッドバグ
仰向けで対角の手足を動かしながら腰を浮かさない動作。内腹斜筋の体幹安定機能を強化。
⑤ バードドッグ
四つ這いで対角の手足を伸ばす。腰の安定が内腹斜筋の機能向上に直結。
女性のくびれ作りに最適:
内腹斜筋は深層筋のため、鍛えてもウエストを太くしません。くびれを作りたい女性は、外腹斜筋より内腹斜筋・腹横筋を優先するのが正解。
内腹斜筋のストレッチ・セルフケア
①立位の側屈ストレッチ
両手を頭上で組み、ゆっくり身体を左右に倒す。15〜30秒×左右。
②座位の体幹回旋ストレッチ
椅子に座って上半身を左右にゆっくり捻る。デスクワーク中の合間にも有効。
③仰向け膝倒しストレッチ
仰向けで両膝を立て、両膝を左右にゆっくり倒す。
④温める
蒸しタオルやお風呂で側腹部を温めると緊張緩和に。
よくある質問(FAQ)
Q1. 内腹斜筋と外腹斜筋の違いは?
内腹斜筋は深層・同側回旋、外腹斜筋は表層・反対側回旋。両者の繊維はX字状に交差して走り、ペアで体幹回旋を生み出します。
Q2. ナチュラルコルセットとは?
腹横筋・内腹斜筋・多裂筋・骨盤底筋が腹部を内側から固める仕組み。腹圧維持・腰痛予防・姿勢保持の基盤となります。
Q3. 内腹斜筋を鍛えるとくびれができる?
はい、深層筋のため鍛えてもウエストが太くなりにくく、くびれ作りに最適。サイドプランク・ドローインなどがおすすめ。
Q4. デスクワークで腰痛の人が鍛えるべきは?
内腹斜筋+腹横筋+多裂筋のコアトレーニングが最重要。プランク・ドローインから始めましょう。
Q5. ゴルフのスイング向上には?
内腹斜筋+反対側の外腹斜筋のペアトレーニング。ツイスト系種目で体幹回旋筋力をUP。
Q6. 内腹斜筋を鍛える頻度は?
週2〜3回がおすすめ。サイドプランク・ドローインは毎日でもOK。
まとめ
内腹斜筋について解説してきた内容を整理します。
・胸腰筋膜・腸骨稜などから起こり、第10〜12肋骨・腹直筋鞘に停止
・腹斜筋群の深層に位置
・主作用は体幹の同側回旋+側屈+屈曲
・支配神経は肋間神経(T5〜T12)+腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経(L1)
・ナチュラルコルセットの中核
・体幹安定・コア機能の主役
・腹横筋と協働する深層腹筋ユニット
・サイドプランク・ドローインで強化
・くびれ作り・腰痛予防に最重要
内腹斜筋は見た目だけでなく、姿勢・腰痛予防・スポーツパフォーマンスのすべてに関わる体幹安定の中核です。腰痛にお悩みの方、くびれを作りたい女性、スポーツのパフォーマンスを上げたい方は、内腹斜筋+腹横筋を意識して鍛えていきましょう。
その他の腹部・腰部の筋肉
【腹直筋・腹斜筋群(外腹斜筋)・腸腰筋(腸骨筋・大腰筋・小腰筋)・腹横筋・腰方形筋・脊柱起立筋(胸腸肋筋・腰腸肋筋・胸最長筋・胸棘筋・多裂筋)・横隔膜・下後鋸筋・骨盤底筋群】
参考文献・出典
・Wikipedia「内腹斜筋」https://ja.wikipedia.org/wiki/内腹斜筋
・看護roo!「内腹斜筋」https://www.kango-roo.com/word/20094
・厚生労働省 e-ヘルスネット「体幹トレーニング」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・rehatora.net「内腹斜筋の解剖と機能・触診」https://rehatora.net/






