腹横筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)
腹横筋(ふくおうきん)とは腹筋(ふっきん)を構成する筋肉の一つで、主に腹部の内圧を高めて腰椎の安定性を保つのに大きく貢献します。
その他にも内臓のポジションを保ったり、排便を助けたりする役割も果たしています。
英語名称
transversus abdominis muscle (トランスブァーサス・アブドミニス・マッスル)
腹横筋の解説
腹横筋(ふくおうきん)は内腹斜筋よりも更に深層部にある筋肉です。
腹横筋は第7~第12肋軟骨、腰筋膜、鼡頚靭帯、腸骨稜から起始し、剣状突起、白線、恥骨に停止します。
腹横筋は主に腹直筋、腹斜筋群らと共に働き、お腹が出ないように引っ込めることで腹圧(腹腔内圧)を高め、腰椎の安定性を保つのに大きく貢献します。
しかし、腹直筋、腹斜筋群、脊柱起立筋などと異なり体幹の動きには直接関与しません。
また、その他に、腹横筋にはセキや激しい運動時の呼気を助けたり、内臓のポジションを保ったり、排便を助けるといった作用もあります。腹横筋は横隔膜と括抗的に働き、下位肋骨を下方に引き下げる作用を持つため、腹を凹ませ息を吐く時に主力筋となります。
腹横筋を鍛えるには、 仰臥位で腹筋をアイソメトリックに収縮させ、壁に腰を力一杯押しつけるようなエクササイズを行うと効率よく鍛えることができます。
また、最大限に息を吸って胸郭をふくらませた状態を維持することで、腹横筋をストレッチさせることができます。
起始
- 第7〜12肋軟骨の内面、胸腰筋膜の深葉(しんよう)
- 鼠径靭帯(そけいじんたい)、腸骨稜の内脣、上前腸骨棘
停止
剣状突起、白線、恥骨
腹横筋の主な働き
腹腔内圧を高める作用があり、腰椎の安定性を保つのに関与しています。
腹横筋を支配する神経
肋間神経(T10~T12)
腸骨下腹神経(L1)
腸骨鼠径神経(L1)
日常生活動作
腹圧を高めることで排便や分娩の補助をします。
スポーツ動作
腹圧を高めることで体幹の安定性を高めます。よってほとんど全てのスポーツで必要になります。
関連する疾患
脊髄損傷、慢性腰痛など
その他の腹部・腰部の筋肉
【腹直筋・腹斜筋群(外腹斜筋・内腹斜筋)・腸腰筋(腸骨筋・大腰筋・小腰筋)・腰方形筋・脊柱起立筋(胸腸肋筋・腰腸肋筋・胸最長筋・胸棘筋・多裂筋)・横隔膜・下後鋸筋・骨盤底筋群】