短腓骨筋とは|起始停止・神経支配と足関節外反・第5中足骨粗面の関係

短腓骨筋

短腓骨筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)

短腓骨筋(たんひこつきん)とは長腓骨筋に覆われている筋肉です。英語では「peroneus brevis muscle」と呼ばれます。

短腓骨筋は足裏を外側に向ける動きの主力筋で、長腓骨筋とともに足首を伸ばす働きも補助します。「長腓骨筋の深層で唯一の純粋外反筋・第5中足骨基部の守護神」として、捻挫予防に最重要な筋肉です。

この記事では、次のような疑問にお答えします。

短腓骨筋の正しい起始停止・作用は?
長腓骨筋とどう違う?
第5中足骨粗面とは?
ジョーンズ骨折との関係は?

例え話で言うと、短腓骨筋は「長腓骨筋の真下に隠れた純粋外反の最強筋」のような存在です。表層の長腓骨筋に覆われた深層に位置し、最も純粋な外反作用を持つ捻挫予防の主役です。

英語名称

peroneus brevis muscle(ペロネァス・ブレヴィス・マッスル)

「peroneus(腓骨の)」+「brevis(短い)」で構成された名称。「短い腓骨の筋」を意味します。長腓骨筋より短いことから命名されました。

短腓骨筋の解説

短腓骨筋(たんひこつきん)は長腓骨筋第三腓骨筋とともに下腿の側面にある筋肉で主に足関節を外反させる作用を持ちます。(小指側を持ち上げる)

また、短腓骨筋は足関節底屈補助筋としても機能しています。

短腓骨筋は腓骨外側面から起始し、外顆の後方を通り、第五中足骨粗面に停止しているため、外側縦足弓(足裏の縦アーチ)形成にも大きく貢献しています。

このように短腓骨筋は足底の筋群とともに十分に発達していないと足裏のアーチが崩れ、足関節が内反しやすくなってしまいます。

過去に足関節の内反捻挫を何度も繰り返している方は足関節外側側副靭帯(前距腓靭帯・踵腓靭帯・後距腓靭帯)を損傷したり、また機能不全を起こしていることが考えられるので足首の内反捻挫を予防する上でも短腓骨筋は長腓骨筋とともに必ず鍛えなければならない部位だと言えます。

短腓骨筋は他の足底にある筋群とともにランニングやジャンプなどの動きで鍛えることができます。また、短腓骨筋を鍛えるには長腓骨筋と同様の外反エクササイズを行うことで強化することができます。

この筋肉をストレッチするには膝屈曲位で他動的に足と足関節を極端な内反及び背屈位にすることで引き延ばすことができます。

短腓骨筋と長腓骨筋|表層と深層の協働ペア

短腓骨筋を理解する上で最重要なのが長腓骨筋との位置関係です:

長腓骨筋(表層)
・下腿外側の表層
・触診しやすい
長く・大きい
・腓骨頭〜腓骨上部2/3起始
足底を横切って内側まで停止
横アーチ形成

短腓骨筋(深層)
・長腓骨筋の真下
・触診困難
短く・小さい
腓骨下部1/2起始
第5中足骨粗面に停止(短い経路)
純粋な外反作用

機能的な役割分担

① 短腓骨筋=純粋外反
最短の経路で第5中足骨に停止するため、最も純粋な外反作用を発揮。捻挫予防の主役。

② 長腓骨筋=外反+アーチ
足底を横切るため、外反+横アーチ形成の両方を担当。

③ 連携プレー
両者が連携して足関節の外反+底屈+アーチ維持を実現。

「捻挫予防の最強筋は?」
最も純粋な外反作用を持つ短腓骨筋が、捻挫予防の最重要筋とされます。

強化のポイント
短腓骨筋は深層筋ですが、長腓骨筋と同じ外反エクササイズで同時に鍛えられます。両者は同じ動作で活動するため、別個に鍛える必要はありません。

個体差
短腓骨筋と長腓骨筋の大きさ・走行の比率には個体差があり、これが足部のバイオメカニクスに影響します。

第5中足骨粗面裂離骨折とジョーンズ骨折|短腓骨筋の臨床的重要性

短腓骨筋を語る上で外せないのが「第5中足骨基部の骨折」です。

第5中足骨基部の重要性
短腓骨筋は第5中足骨粗面に停止します。この場所は足外側の重要な骨折好発部位です。

2つの代表的な骨折

① 第5中足骨粗面裂離骨折(下駄骨折)
短腓骨筋腱の牽引による剥離骨折
内反捻挫と同時に発症
受傷直後の鋭い痛み
・日本では「下駄骨折」として知られる

② ジョーンズ骨折
第5中足骨基部のやや先端寄りの骨折
1902年にロバート・ジョーンズが報告
疲労骨折のことが多い
難治性として知られる

両者の違い

第5中足骨粗面裂離骨折
急性発症(捻挫と同時)
短腓骨筋腱付着部
治癒しやすい
・保存療法で大丈夫なことが多い

ジョーンズ骨折
慢性的な疲労骨折多い
もっと先端寄り
難治性・偽関節リスク
・手術が必要な場合が多い
アスリートのキャリアを左右

サッカー選手とジョーンズ骨折
ジョーンズ骨折はサッカー選手に特に多発:
反復するキック動作
急な方向転換
硬い地面でのプレー

有名選手の例
複数のトップサッカー選手がジョーンズ骨折で長期離脱経験あり。発症すると3〜6ヶ月の離脱が一般的。

受傷メカニズム

第5中足骨粗面裂離骨折
1. 足を強く内側にひねる(内反)
2. 短腓骨筋腱が第5中足骨を引っ張る
3. 骨が剥がれるように剥離骨折

ジョーンズ骨折
1. 反復するストレス・荷重
2. 第5中足骨基部の血流の悪い部位
3. 疲労骨折として発症

診断と治療

診断
レントゲンで基本確認
MRI・CTで詳細確認
内反捻挫と誤診されやすいため要注意

治療
第5中足骨粗面裂離骨折:ギプス固定4〜6週間
ジョーンズ骨折:保存療法6〜12週間または手術

予防
短腓骨筋+長腓骨筋の強化
適切なシューズ
段階的な練習量増加
休養の確保

スポーツ選手は足外側の痛みを「ただの捻挫」と片付けず、専門医の診察を受けることが重要です。

短腓骨筋の触診と腱の経路

短腓骨筋を理解する上で触診と腱の経路も重要:

触診のポイント
短腓骨筋は深層筋のため筋腹を直接触れることは困難ですが、腱は触診可能です。

触診の手順

① 外くるぶし後方
外果のすぐ後ろを触る。

② 短腓骨筋腱の確認
長腓骨筋腱と一緒に触れる(前方が短腓骨筋)。

③ 第5中足骨基部まで追う
足外側を辿って第5中足骨基部まで触れる。

④ 外反動作で確認
足首を外反させると腱が緊張するのを感じる。

腱の経路

① 外果後方を通過
腓骨筋腱鞘内を通る。長腓骨筋腱と一緒。

② 腓骨筋滑車
踵骨外側の小さな突起を通過。

③ 立方骨の上方
立方骨の上を通って前進。

④ 第5中足骨粗面
足外側のもっとも突き出た部分に停止。

触診で分かること
腱の腫れ・痛み:腓骨筋腱鞘炎の兆候
第5中足骨基部の押痛:骨折の可能性
外果後方の腫れ:腱脱臼の可能性

足外側のトラブルがある方は、ご自身で短腓骨筋腱を触ってみると状態を把握しやすいです。

起始

腓骨外側面の遠位1/2

腓骨下部から起こります。長腓骨筋(上部2/3起始)より下方に位置します。

停止

第五中足骨粗面(ちゅうそっこつそめん)

足外側の突き出た骨に停止する短い経路です。

短腓骨筋の主な働き

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長腓骨筋とともに足関節を外反底屈させる作用を持っています。

主な役割:

足関節の外反(最強筋)
足関節の底屈(補助)
外側縦アーチの形成
内反捻挫の予防
第5中足骨基部の安定
不整地での足首安定

短腓骨筋を支配する神経

浅腓骨神経(L4〜S1)

長腓骨筋と同じ浅腓骨神経の支配を受けます。

日常生活動作

歩く・走るといった日常動作に主に関与しますが、特に路上が不安定になっている場所ではこの筋肉の貢献度は更に高くなります。

具体的には:

歩行(足首安定)
不整地の歩行
方向転換
立位での足の安定
足外側の支持

毎日の歩行に欠かせない筋。

スポーツ動作

陸上のほとんどのスポーツ動作では特に重要な役割を果たしています。

特に重要なスポーツ:
サッカー(キック・方向転換)
バスケットボール
バレーボール
テニス
トレイルランニング
陸上競技

跳躍・方向転換すべてで活躍。

関連する疾患

腓骨筋腱脱臼、腓骨筋腱損傷、腓骨筋腱鞘炎、踵骨骨折、第5中足骨粗面裂離骨折、内反捻挫など

① 第5中足骨粗面裂離骨折(下駄骨折)

短腓骨筋腱の牽引による剥離骨折。内反捻挫と同時発症が多い。

② ジョーンズ骨折

第5中足骨基部の難治性骨折。サッカー選手に多発。手術が必要な場合あり。

③ 内反捻挫

スポーツ障害最多。短腓骨筋強化で予防+再発防止。

④ 腓骨筋腱鞘炎

外くるぶし後方での腱の慢性炎症。

⑤ 腓骨筋腱脱臼

スポーツ中の急な動作で外果後方の腱がずれる。

短腓骨筋を効果的に鍛えるトレーニング

① チューブでの外反運動(最重要)
椅子に座って足首にチューブをかけ、外側に開く。15〜20回×3セット。長腓骨筋と同時強化。

② バランスディスクでの片足立ち
不安定面での片足立ち。短腓骨筋の反応速度UP。

③ サイドホップ
横方向のジャンプ。動的バランスと外反力強化。

④ 片足カーフレイズ
片足でつま先立ち。短腓骨筋+下腿三頭筋を同時強化。

⑤ 砂浜・不整地歩行
日常的な不整地歩行で機能的活性化。

頻度の目安
週3〜5回。捻挫経験者・サッカー選手は毎日軽めに継続もOK。

短腓骨筋のストレッチ・セルフケア

①内反+背屈ストレッチ

座位で足首を内反+背屈方向に他動的にストレッチ。30秒×3回×左右

②膝屈曲位でのストレッチ

膝を曲げた状態で足を内反させる。腓腹筋の関与を最小化。

③足外側のリリース

下腿外側〜足外側をフォームローラー・ボールで圧迫リリース。

④温める

下腿外側〜足外側をお風呂で温めて緊張緩和。

⑤適切な靴選び

足外側を圧迫しない靴で短腓骨筋+第5中足骨基部を守る。

よくある質問(FAQ)

Q1. 短腓骨筋はどこにある?
下腿外側の深層、長腓骨筋の真下。腓骨下部1/2から起こり、外くるぶしの後方を通って第5中足骨粗面に停止します。

Q2. 長腓骨筋とどう違う?
短腓骨筋は深層・短い・第5中足骨に停止、長腓骨筋は表層・長い・足底を横切って第1中足骨に停止。短腓骨筋は純粋外反の最強筋

Q3. 第5中足骨粗面裂離骨折とは?
内反捻挫と同時に短腓骨筋腱の牽引で第5中足骨基部が剥離骨折。日本では「下駄骨折」とも呼ばれます。

Q4. ジョーンズ骨折とは?
第5中足骨基部のやや先端寄りの難治性骨折。サッカー選手に多発。手術が必要な場合も多い。

Q5. 短腓骨筋を効率的に鍛える方法は?
チューブでの外反運動+バランストレーニング。長腓骨筋と同じエクササイズで同時に鍛えられます。

Q6. 足外側に痛みがあったら?
ただの捻挫と片付けず、第5中足骨基部の骨折の可能性も。専門医の診察を受けることをおすすめします。

まとめ

短腓骨筋について解説してきた内容を整理します。

腓骨外側面遠位1/2から起こり、第5中足骨粗面に停止
長腓骨筋の深層に位置
・主作用は足関節外反+底屈
・支配神経は浅腓骨神経(L4〜S1)
純粋外反の最強筋
外側縦アーチに貢献
内反捻挫予防に最重要
第5中足骨粗面裂離骨折(下駄骨折)に関与
ジョーンズ骨折との関係も
・チューブでの外反運動が最重要トレ

短腓骨筋は長腓骨筋の真下に隠れた深層筋ですが、最も純粋な外反作用を持つ捻挫予防の最強筋です。サッカー選手・スポーツ愛好家・捻挫経験者は、短腓骨筋+長腓骨筋の総合的なケアで足首と第5中足骨基部の健康を守りましょう。

その他の下腿部の筋肉

下腿三頭筋(腓腹筋ヒラメ筋)・前脛骨筋後脛骨筋腓骨筋群(長腓骨筋第三腓骨筋)・足底筋長母趾屈筋長趾屈筋長母趾伸筋長趾伸筋

参考文献・出典

・Wikipedia「短腓骨筋」https://ja.wikipedia.org/wiki/短腓骨筋

・看護roo!「短腓骨筋」https://www.kango-roo.com/word/20145

・日本整形外科学会「足部疾患診療ガイドライン」https://www.joa.or.jp/

・厚生労働省 e-ヘルスネット「スポーツ外傷」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

・rehatora.net「短腓骨筋の解剖と機能・触診」https://rehatora.net/

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