脊柱起立筋の筋力チェック
この記事では、脊柱起立筋の筋力チェック方法を解説します。
・脊柱起立筋の筋力チェック手順
・正しい測定のためのポイント
・神経リンパ反射と関連臓器
・姿勢維持・腰痛予防との関連
脊柱起立筋は「背中の支柱」。棘筋+最長筋+腸肋筋の3筋で構成され、姿勢の維持と体幹伸展の主役を担います。応用キネシオロジー(AK)では膀胱との関連も研究されています。
脊柱起立筋とは|背中の支柱・3筋構成
脊柱起立筋の基本情報:
脊柱起立筋は3つの筋の総称:
① 棘筋(きょくきん)
・最も内側
・棘突起の側方
② 最長筋(さいちょうきん)
・中央
・最大の脊柱起立筋
③ 腸肋筋(ちょうろっきん)
・最も外側
・肋骨に付着
これら3筋がさらに上部(頭・頚部)・中部(胸部)・下部(腰部)に分かれます。
主な作用:
・脊柱の伸展(主作用)
・体幹の同側側屈
・体幹の同側回旋
・姿勢の維持
・頭部の伸展(上部)
神経支配:
・脊髄神経後枝
「背中の支柱」:
脊柱起立筋の重要な役割:
① 姿勢維持
・直立姿勢の支持
・重力に対抗
・「抗重力筋」
② 体幹伸展
・「胸を張る」動作
・反る動作
③ 脊柱の安定
・椎骨の位置保持
・脊髄の保護
「常に活動している筋」:
脊柱起立筋は立位・座位・歩行のすべてで活動:
・意識しなくても活動
・慢性的な疲労を起こしやすい
・腰部の張り=典型的な疲労サイン
実施方法

- 患者さんはベッドの上で腹臥位になります。その時両手の平は腰の後ろに回し、手を使わずに片側の肩をベッドから持ち上げます。
- 術者は持ち上げられた肩に手を置き、対角線状の臀部に手を置きます。

- 持ち上げられた肩をベッドに押しつけるように圧を加えます。
患者さんはその下方への圧に対して肩を持ち上げ続けることで脊柱起立筋の筋力を評価します。




ワンポイント
正しく測定するためのポイント:
・患者さんは目線をやや斜め上方に上げる
・写真の場合は左脊柱起立筋のテスト
・手を使わずに肩を持ち上げる
・対角線状の臀部を固定
「目線を斜め上」の意味:
目線を斜め上に上げると:
・頚椎の伸展位
・脊柱全体の伸展
・脊柱起立筋の選択的活動
「左右の区別」:
左脊柱起立筋テスト:左肩を持ち上げる
右脊柱起立筋テスト:右肩を持ち上げる
※片側の脊柱起立筋を選択的に評価
「対角線臀部固定」の意味:
例:左肩テスト→右臀部固定
・体幹回旋を防ぐ
・選択的な評価
・代償動作の防止
注意事項:
・腰痛がある場合は中止
・過度な圧は避ける
・段階的に力を加える




論考
判定方法:
術者の抵抗に逆らえず、ストンと肩がベッドについた場合は脊柱起立筋が弱いと判断できます。
この場合、脊柱起立筋が骨盤が後傾する原因になります。
脊柱起立筋弱化が示唆するもの:
・骨盤後傾のリスク
・慢性腰痛
・円背(猫背)
・姿勢の崩れ
・ロコモティブシンドロームのリスク
・関連臓器(膀胱)の機能低下(応用キネシオロジー的視点)
「骨盤後傾」の意味:
脊柱起立筋(特に下部)が弱化すると:
① 骨盤を引き起こせない
・骨盤前傾を維持できない
・骨盤後傾になる
② 円背・猫背
・胸椎後弯増強
・「老人姿勢」
③ ロコモティブシンドローム
・加齢による筋力低下
・転倒リスク
「過緊張と弱化の両立」:
脊柱起立筋は過緊張と弱化が両立することが多い筋:
① 過緊張
・常に活動
・慢性的な張り
② 弱化
・「使えない硬い筋」
・本来の力を発揮できない
③ 結果として
・慢性腰痛
・姿勢の崩れ
・連鎖的な問題
神経リンパ反射点
応用キネシオロジー(AK)における脊柱起立筋の神経リンパ反射点:
① 恥骨前面
・臍から左右2.5cm外方
② L2横突起の上
これらの部位を軽くマッサージすることで脊柱起立筋の機能を活性化できると考えられています。
関連臓器・腺
応用キネシオロジーでは脊柱起立筋は膀胱と関連すると考えられています。
「膀胱」との関連:
膀胱の役割:
・尿の貯蔵
・排尿の制御
・骨盤底筋と協調
膀胱との関連:
脊柱起立筋の弱化があるとき:
・膀胱機能の状態のサインの可能性
・骨盤底機能の指標
・頻尿・尿失禁などの泌尿器症状
東洋医学との関連:
東洋医学では:
・膀胱経が背中の経絡(正中の両側)
・脊柱起立筋に沿って走行
・「気の流れ」と関連
応用キネシオロジーはこれらの東洋医学的概念とも関連が研究されています。
※注意:応用キネシオロジーの解釈であり、医学的に確立した因果関係ではありません。あくまで参考情報として考慮してください。
脊柱起立筋と腰痛・姿勢|現代人の問題
脊柱起立筋は腰痛・姿勢問題の中心:
「腰痛の代表筋」:
腰部の脊柱起立筋は腰痛の中心:
① 筋・筋膜性腰痛
・脊柱起立筋の慢性疲労
・最も多い腰痛
② 急性腰痛(ぎっくり腰)
・脊柱起立筋の急激な収縮
・痙攣・硬直
③ 慢性腰痛
・「過緊張と弱化」の悪循環
・マッサージで一時改善のみ
「現代人の脊柱起立筋」問題:
① 長時間座位
・持続的な収縮
・血流不良
・疲労物質蓄積
② 前傾姿勢
・パソコン・スマホ
・常に伸展位を強いられる
・慢性疲労
③ 運動不足
・筋力低下
・柔軟性低下
④ ストレス
・筋緊張増加
・慢性的な張り
「ロコモティブシンドローム」との関連:
脊柱起立筋の機能低下=ロコモのリスク:
① 加齢による筋力低下
・抗重力筋の機能低下
・姿勢の崩れ
② 円背
・胸椎後弯増強
・「老人姿勢」
③ 転倒リスク
・バランス能力低下
・骨折リスク
④ 寝たきりリスク
・歩行能力低下
・ADL低下
関連する障害:
① 慢性腰痛
・脊柱起立筋の慢性疲労
・マッサージで一時改善のみ
② 急性腰痛症(ぎっくり腰)
・突然の激痛
・動けない
③ 円背(脊柱後弯症)
・胸椎の過後弯
・高齢者に多い
④ ロコモティブシンドローム
・運動器の機能低下
・要介護リスク
⑤ 椎間関節性腰痛
・椎間関節の機能不全
・反復ストレス
⑥ 仙腸関節障害
・骨盤の機能不全
・連動した腰痛
⑦ 変形性脊椎症
・加齢による変性
・骨棘形成
⑧ 圧迫骨折
・高齢者に多い
・骨粗鬆症と関連
「過緊張・弱化の悪循環」:
脊柱起立筋特有の問題:
① 持続的な活動
・姿勢維持で常に収縮
・休まることがない
② 過緊張による硬化
・血流不良
・「コリ」の発生
③ 「使えない硬い筋」化
・本来の力を発揮できない
・機能不全
④ 連鎖的な機能低下
・他の筋への代償
・姿勢の悪化
改善法:
① 脊柱起立筋ストレッチ
(a) 猫のポーズ
・四つ這い
・背中を丸める
・30秒×3回
(b) チャイルドポーズ
・正座から前屈
・背中を伸ばす
② 脊柱起立筋強化
(a) バックエクステンション
・うつ伏せから上体起こし
・10回×3セット
(b) スーパーマン
・うつ伏せ
・対角の手足を伸ばす
(c) デッドリフト
・全身の連動
・機能的強化
③ 体幹安定性
(a) プランク
・コア全般
(b) バードドッグ
・体幹安定+四肢の協調
④ 姿勢改善
・骨盤の中立位
・1時間に1回の姿勢リセット
⑤ ストレス管理
・深呼吸
・瞑想
・趣味の時間
⑥ 早期受診
・持続する痛み
・下肢のしびれ
・整形外科へ
まとめ
脊柱起立筋の筋力チェックについて解説してきた内容を整理します。
・腹臥位で片側の肩を手を使わずに持ち上げる
・持ち上げた肩に下方への圧+対角線臀部固定
・目線を斜め上に
・左右の区別(左肩挙上=左脊柱起立筋)
・ストンと肩がベッドに=弱化
・骨盤後傾の原因
・神経リンパ反射点:恥骨前面(臍から左右2.5cm外方)+L2横突起の上
・関連臓器(応用キネシオロジー):膀胱
・「背中の支柱」
・棘筋+最長筋+腸肋筋の3筋構成
・抗重力筋として常に活動
・過緊張と弱化が両立
・腰痛・円背・ロコモの中心
脊柱起立筋の機能評価は姿勢改善+腰痛予防+ロコモ予防+膀胱機能の参考指標として活用できます。整体・カイロ・トレーナーの現場で活用される基礎的な評価法です。日常的にもストレッチ+バックエクステンション+プランク+姿勢改善で脊柱起立筋の健康を維持しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「腰痛・ロコモティブシンドローム」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本整形外科学会「腰痛・脊椎疾患」https://www.joa.or.jp/
・日本脊椎脊髄病学会「脊椎疾患」https://www.jssr.gr.jp/
・日本理学療法士協会「姿勢と体幹」https://www.japanpt.or.jp/
・国際応用キネシオロジー学会「Manual Muscle Testing」https://www.icakusa.com/










