僧帽筋(中部)の筋力チェック
この記事では、僧帽筋中部線維の筋力チェック方法を解説します。
・僧帽筋中部線維の筋力チェック手順
・正しい測定のためのポイント
・神経リンパ反射と関連臓器
・猫背・巻き肩との関連
僧帽筋中部線維は「胸を張る筋」。肩甲骨の内転の主役で、現代人で最も機能低下しやすい筋肉の1つです。応用キネシオロジー(AK)では脾臓との関連も研究されています。
僧帽筋中部線維とは|現代人最弱の姿勢筋
僧帽筋中部線維の基本情報:
① 起始
・第1〜第5胸椎の棘突起
② 停止
・肩甲棘の上縁
③ 主な作用
・肩甲骨の内転(主作用)
・肩甲骨の安定化
④ 神経支配
・副神経+頚神経叢(C2-C4)
「胸を張る筋」:
僧帽筋中部の主役は「胸を張る」動作:
① 肩甲骨の内転
・両肩甲骨を背骨に寄せる
・胸を開く動作
② 姿勢維持
・背中の支持力
・巻き肩予防
③ 上肢の安定基盤
・肩甲骨の安定=上肢機能の基盤
「僧帽筋3部位」の中の位置づけ:
僧帽筋は3部位に分かれます:
① 上部繊維
・挙上+頚部動作
・過剰活動傾向
② 中部繊維(本記事)
・内転
・機能低下傾向
③ 下部繊維
・下制+上方回旋
・機能低下傾向
「現代人最弱の姿勢筋」:
僧帽筋中部は現代人で最も機能低下しやすい筋の1つ:
① 使われない
・長時間座位=巻き肩位
・パソコン・スマホで抑制
・「胸を張る」機会が激減
② 拮抗筋優位
・大胸筋・前鋸筋・小胸筋が優位
・外転位の継続
③ 結果として
・猫背・巻き肩の完成
・肩こり・首こり
・呼吸の浅さ
実施方法

- 患者さんに腹臥位になってもらい、患側上肢を身体の側面から90度外転させ肩関節を十分に外旋させ、その位置で固定してもらいます。
このとき頭部は患側上肢に向けておきます。

- 術者は反対側の手で患者さんの肩甲骨を押さえ、患側の手首を軽く把握し、前方(床に)に向かって圧迫を加えます。
患者さんはその床方向への圧に対して上肢を保持することで僧帽筋中部の筋力を評価します。




ワンポイント
正しく測定するためのポイント:
・患者さんは伸ばした指先に目線を向ける
・菱形筋の関与を少なくするため肩関節を最大外旋
・頭部を患側上肢方向へ
・体幹の代償を防ぐ
「最大外旋位」の意味:
外旋位を維持すると:
・菱形筋の活動を抑制
・純粋な僧帽筋中部テストになる
・選択的評価が可能
「指先に目線」の意味:
頭部の位置で評価が変わる:
・頭部の動きを固定
・上肢に意識を向ける
・姿勢の安定
注意事項:
・頚部・肩部の痛みがある場合は中止
・過度な圧は避ける
・段階的に力を加える




論考
判定方法:
この検査を左右両方で実施します。
弱いと感じた側の僧帽筋(中部)が弱化している可能性があります。
左右差の意味:
・5%以上の差:要注意
・10%以上の差:明らかな弱化
・左右差なし:正常
僧帽筋中部弱化が示唆するもの:
・猫背・巻き肩のリスク
・肩甲骨の動的安定性低下
・姿勢の崩れ
・慢性的な肩こり
・関連臓器(脾臓)の機能低下(応用キネシオロジー的視点)
「現代人の典型」:
僧帽筋中部の弱化は現代人の典型:
① ほぼ全員が弱化
・パソコン・スマホ世代
・運動不足
・姿勢の悪さ
② 左右差
・利き手側の問題
・マウス操作での偏り
③ 連動する弱化
・僧帽筋下部も同時弱化
・菱形筋も弱化傾向
神経リンパ反射点
応用キネシオロジー(AK)における僧帽筋中部の神経リンパ反射点:
① 左乳首の下
・左側第7及び第8肋骨の間
② T7〜T8の間
・左側椎弓板の近く
これらの部位を軽くマッサージすることで僧帽筋中部の機能を活性化できると考えられています。
関連臓器・腺
応用キネシオロジーでは僧帽筋中部は脾臓と関連すると考えられています。
「脾臓」とは:
脾臓の役割:
・血液のろ過
・古い赤血球の処理
・免疫機能(リンパ球の貯蔵)
・血液貯蔵
脾臓との関連:
僧帽筋中部の弱化があるとき:
・免疫機能の状態のサインの可能性
・疲労感・倦怠感
・「気の流れ」の指標(東洋医学的視点)
東洋医学との関連:
東洋医学では脾臓(脾)は:
・「気血の生成」
・「思」と関連
・消化機能と密接
応用キネシオロジーはこれらの東洋医学的概念とも関連が研究されています。
※注意:応用キネシオロジーの解釈であり、医学的に確立した因果関係ではありません。あくまで参考情報として考慮してください。
僧帽筋中部弱化と猫背・巻き肩|現代人の姿勢問題
僧帽筋中部の最大の問題が「猫背・巻き肩」:
「猫背・巻き肩」の解剖学:
猫背・巻き肩は筋バランスの崩壊:
① 短縮筋(前面)
・大胸筋=硬く短縮
・小胸筋=硬く短縮
・前鋸筋=過剰活動
② 弱化筋(後面)
・僧帽筋中部=機能低下(本記事)
・僧帽筋下部=機能低下
・菱形筋=伸ばされて弱化
③ 結果として
・肩甲骨の外転+前傾
・胸が閉じる
・「猫背・巻き肩」の完成
「現代人の8割が猫背・巻き肩」:
日本人の約7〜8割が猫背・巻き肩傾向:
① 子供から始まる
・ゲーム・タブレット
・勉強姿勢
・スマホ早期使用
② 大人で完成
・長時間のデスクワーク
・運動不足
・ストレス
③ 高齢で固定化
・骨格の変形
・円背
・不可逆的
「Lower Crossed Syndrome」:
巻き肩・猫背の典型パターン「上位交差症候群」:
① 短縮筋(×字の対角線)
・大胸筋・小胸筋
・頭半棘筋・後頭下筋群
② 弱化筋(×字の対角線)
・深層頚屈筋
・僧帽筋中部・下部
これら4筋の「交差した」バランス崩壊が頭部前方位+肩前方位を生みます。
「猫背・巻き肩の悪影響」:
① 肩こり・首こり
・慢性的な不快感
・マッサージで一時改善のみ
② 呼吸の浅さ
・胸郭の動き制限
・慢性的な酸欠
・疲労感
③ 肩関節障害
・インピンジメント
・四十肩・五十肩
・腱板炎
④ 頚椎症
・ストレートネック
・頚椎への負担
⑤ 自律神経の乱れ
・交感神経優位
・不眠・うつ
⑥ 内臓圧迫
・消化不良
・胃食道逆流
⑦ 見た目の老化
・10歳以上老けて見える
・自信なさげな印象
関連する障害:
① 慢性肩こり
・僧帽筋上部の代償的過緊張
・慢性化
② 頚椎症・ストレートネック
・姿勢の崩れ
・頚部への負担
③ 胸郭出口症候群
・巻き肩での神経血管圧迫
・手のしびれ
④ 肩関節周囲炎
・肩甲骨機能不全
・四十肩・五十肩
⑤ 呼吸器疾患の悪化
・呼吸補助筋の過剰活動
・慢性的な疲労
改善法:
① 僧帽筋中部・下部強化(最重要)
・ローイング
・Y-T-W-Lエクササイズ
・バンドプル・アパート
② 前面筋ストレッチ
・大胸筋ストレッチ
・小胸筋ストレッチ
・胸を開く動作
③ 姿勢意識
・胸を張る
・顎を引く
・1時間に1回の姿勢リセット
④ 環境改善
・モニター位置調整
・適切な椅子
・立ち作業の導入
⑤ 全身運動
・水泳(背泳ぎ)
・ヨガ
・ピラティス
まとめ
僧帽筋中部線維の筋力チェックについて解説してきた内容を整理します。
・腹臥位で患側上肢90度外転+外旋+頭部は患側へ
・床方向への圧に対して上肢を保持
・最大外旋位で菱形筋の関与を最小化
・指先に目線を維持
・左右比較で弱化を判定
・神経リンパ反射点:左乳首下(左側第7〜8肋骨間)+T7〜T8椎弓板
・関連臓器(応用キネシオロジー):脾臓
・「胸を張る筋」=肩甲骨内転の主役
・現代人最弱の姿勢筋
・猫背・巻き肩の主因
・「上位交差症候群」の中心
・副神経+頚神経叢支配
僧帽筋中部の機能評価は姿勢改善+猫背・巻き肩予防+免疫機能の参考指標として活用できます。整体・カイロ・トレーナーの現場で活用される基礎的な評価法です。日常的にもローイング+Y-T-W-Lエクササイズ+大胸筋ストレッチ+姿勢改善で僧帽筋中部の健康を維持しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「肩こり」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本整形外科学会「肩こり・姿勢」https://www.joa.or.jp/
・日本理学療法士協会「姿勢と肩甲骨」https://www.japanpt.or.jp/
・日本肩関節学会「肩関節疾患」https://katakansetsu.jp/
・国際応用キネシオロジー学会「Manual Muscle Testing」https://www.icakusa.com/










