僧帽筋上部線維の筋力チェック
この記事では、僧帽筋上部線維の筋力チェック方法を解説します。
・僧帽筋上部線維の筋力チェック手順
・正しい測定のためのポイント
・神経リンパ反射と関連臓器
・肩こり・首こりとの関連
僧帽筋上部線維は「肩こりの代表筋」。肩甲骨の挙上+頚部の側屈・伸展に関与し、現代人で最も酷使される筋肉の1つです。応用キネシオロジー(AK)では眼と耳との関連も研究されています。
僧帽筋上部線維とは|肩こりの代表筋
僧帽筋上部線維の基本情報:
① 起始
・後頭骨外後頭隆起
・上項線
・項靭帯
・頚椎棘突起
② 停止
・鎖骨外側1/3
③ 主な作用
・肩甲骨の挙上(主作用)
・肩甲骨の上方回旋(補助)
・頚部の同側側屈
・頚部の対側回旋
・頚部の伸展
④ 神経支配
・副神経+頚神経叢(C2-C4)
「肩こりの代表筋」:
僧帽筋上部は現代人で最も酷使される筋:
① 慢性的な収縮
・長時間座位
・パソコン・スマホ
・ストレスで緊張
② 触れやすい部位
・「肩こり」の張りを感じる場所
・マッサージで第一に触る場所
③ 「日本人の国民病」
・肩こり=僧帽筋上部の問題
・9割の現代人が経験
「僧帽筋3部位」の中の位置づけ:
僧帽筋は3部位に分かれます:
① 上部繊維(本記事)
・挙上+頚部動作
・過剰活動傾向
② 中部繊維
・内転
・機能低下傾向
③ 下部繊維
・下制+上方回旋
・機能低下傾向
現代人は「上部過剰・中部下部弱化」のアンバランス。
実施方法

- 筋力チェックを行う側の肩を挙上してもらいます。
- 次にチェック側に頭部を倒すように(側屈する)指示します。
術者は片方の手で患者さんの肩を固定し、もう片方の手で患者さんの頭部を保持します。

- 術者は両手を使って患者さんの頭部と肩を引き離すように力を加えます。
患者さんはその引き離す力に対して頭部と肩を近づける方向に抵抗することで僧帽筋上部の筋力を評価します。




ワンポイント
正しく測定するためのポイント:
・肩は耳から10数センチ離す
・頚部の筋が必要以上に緊張しないように
・同側側屈+同側肩挙上を維持
・体幹の代償を防ぐ
「肩と耳の距離」の意味:
肩と耳が近すぎると:
・過剰な頚部緊張
・肩甲挙筋・斜角筋の代償活動
・純粋な僧帽筋上部テストにならない
「同側側屈+挙上」の意味:
この組み合わせで:
・僧帽筋上部の繊維方向に合致
・選択的な収縮
・他の筋の代償を最小化
注意事項:
・頚部・肩部の痛みがある場合は中止
・過度な圧は避ける
・めまいが起こる場合は中止
・段階的に力を加える




論考
判定方法:
この検査を左右両方で実施します。
固定力が弱いと感じた側の僧帽筋(上部)が弱化している可能性があります。
左右差の意味:
・5%以上の差:要注意
・10%以上の差:明らかな弱化
・左右差なし:正常
僧帽筋上部の「弱化」の意外な事実:
僧帽筋上部は過緊張イメージが強いですが:
① 「過緊張」と「弱化」は両立する
・慢性的な緊張=機能不全
・「使えない硬い筋」になる
・本来の力を発揮できない
② 弱化が示唆するもの
・肩こりの慢性化
・頚椎症のリスク
・副神経麻痺のサイン
・関連臓器(眼・耳)の機能低下(応用キネシオロジー的視点)
「副神経麻痺」の評価:
僧帽筋上部の弱化は副神経麻痺のサインの可能性:
・頚部リンパ節郭清後
・肩甲骨が下垂
・肩の挙上不能
・頚部・肩の痛み
特に急激な弱化+頚部手術後では神経損傷を疑う必要があります。
神経リンパ反射点
応用キネシオロジー(AK)における僧帽筋上部の神経リンパ反射点:
① 三角筋前部と三角筋中部の間
② 環椎後弓
これらの部位を軽くマッサージすることで僧帽筋上部の機能を活性化できると考えられています。
関連臓器・腺
応用キネシオロジーでは僧帽筋上部は眼と耳と関連すると考えられています。
「眼」と「耳」との関連:
僧帽筋上部の弱化があるとき:
① 眼の症状
・眼精疲労
・視力低下
・ドライアイ
・かすみ目
② 耳の症状
・耳鳴り
・めまい
・難聴
・めまい感
眼・耳と頚部の関係:
医学的にも知られている関連:
① 頚性めまい
・頚椎の歪み・筋緊張
・椎骨動脈血流の影響
・三半規管への影響
② 頚椎症と眼症状
・頚椎の歪み=眼の症状を誘発
・視神経への影響
③ ストレートネックと目の疲れ
・パソコン・スマホでの頚部負担
・眼精疲労と並行
※注意:応用キネシオロジーの解釈であり、医学的に確立した因果関係ではありません。ただし頚性めまい・頚椎症と眼症状の関連は医学的にも知られているため、眼科・耳鼻科の受診も検討してください。
僧帽筋上部の過緊張と肩こり|現代人の国民病
僧帽筋上部の問題は「日本人の国民病」=肩こり:
日本人の肩こり事情:
・女性の自覚症状1位=肩こり
・男性の自覚症状2位=肩こり
・1000万人以上が悩む
・「国民病」レベル
「肩こり」の本体:
肩こりの正体は主に僧帽筋上部の問題:
① 慢性的な過緊張
・長時間の収縮
・血流不良
・疲労物質の蓄積
② 機能不全
・「使えない硬い筋」
・本来の力を発揮できない
・連鎖的な問題
③ トリガーポイント
・「コリのコア」
・関連痛を引き起こす
「現代人の生活と肩こり」:
① パソコン・スマホ
・頚部の前傾姿勢
・「スマホ首」「ストレートネック」
・僧帽筋上部の過剰収縮
② 長時間座位
・固定姿勢
・筋血流低下
③ ストレス
・交感神経優位
・無意識の肩挙上
・慢性緊張
④ 運動不足
・筋の柔軟性低下
・姿勢の崩れ
⑤ 寒冷
・血流不良
・筋の硬化
肩こりに伴う症状:
僧帽筋上部の過緊張から派生する症状:
① 頭痛(緊張型頭痛)
・関連痛として頭部に
・後頭部から痛む
② 眼精疲労
・頚部緊張と連動
・かすみ目
③ めまい
・頚性めまい
・椎骨動脈の影響
④ 不眠
・交感神経優位
・リラックスできない
⑤ 集中力低下
・慢性的な不快感
⑥ 自律神経失調
・慢性ストレス
・全身の不調
関連する障害:
① 緊張型頭痛
・最も多い頭痛
・僧帽筋上部のトリガーポイント
② 頚椎症
・加齢・姿勢
・頚部痛+手のしびれ
③ ストレートネック
・頚椎の前弯消失
・「スマホ首」
④ 胸郭出口症候群
・腕神経叢・血管の圧迫
・手のしびれ・冷感
⑤ 寝違え
・急性筋筋膜性頚部痛
・朝の急発症
⑥ 線維筋痛症
・全身の慢性疼痛
・トリガーポイント多発
「マッサージの罠」:
肩こり対策でマッサージのみを続けると:
① 一時的な緩和
・気持ちいい
・すぐ戻る
② 根本解決にならない
・姿勢・筋バランスの問題は残る
・慢性化のリスク
③ 必要な対策
・姿勢改善
・拮抗筋(中部・下部)強化
・ストレッチ
・環境改善
予防と改善:
① 僧帽筋上部ストレッチ
・頚部側屈ストレッチ
・30秒×3回×左右
② 僧帽筋中部・下部強化
・ローイング
・Y-T-W-Lエクササイズ
③ 姿勢改善
・胸を張る
・顎を引く
・1時間に1回の姿勢リセット
④ 環境改善
・モニター位置
・適切な椅子
・立ち作業の導入
⑤ ストレス管理
・深呼吸
・瞑想
・趣味の時間
⑥ 早期受診
・持続する痛み
・手のしびれ
・整形外科へ
まとめ
僧帽筋上部線維の筋力チェックについて解説してきた内容を整理します。
・座位で同側肩挙上+同側頭部側屈
・頭部と肩を引き離す方向に圧
・肩と耳を10数センチ離す
・頚部の過剰緊張を防ぐ
・左右比較で弱化を判定
・過緊張と弱化は両立する
・神経リンパ反射点:三角筋前・中部の間+環椎後弓
・関連臓器(応用キネシオロジー):眼と耳
・「肩こりの代表筋」=日本人の国民病
・副神経+頚神経叢支配
・頚性めまい・頭痛・眼精疲労と関連
・マッサージのみでは根本解決しない
僧帽筋上部の機能評価は肩こり改善+頭痛予防+眼精疲労改善+自律神経調整に直結します。整体・カイロ・トレーナーの現場で活用される基礎的な評価法です。日常的にもストレッチ+拮抗筋強化+姿勢改善+環境改善で僧帽筋上部の健康を維持しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「肩こり」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本整形外科学会「肩こり・頚椎症」https://www.joa.or.jp/
・日本頭痛学会「緊張型頭痛」https://www.jhsnet.net/
・日本理学療法士協会「姿勢と頚部」https://www.japanpt.or.jp/
・国際応用キネシオロジー学会「Manual Muscle Testing」https://www.icakusa.com/










