大円筋の筋力チェック
この記事では、大円筋の筋力チェック方法を解説します。
・大円筋の筋力チェック手順
・正しい測定のためのポイント
・神経リンパ反射と関連臓器
・広背筋との連動と臨床的意義
大円筋は「広背筋の小さな相棒」。広背筋と同じ作用を持つ補助筋ですが、独立して評価することで肩関節の機能を精密に診断できます。応用キネシオロジー(AK)では脊柱との関連も研究されています。
大円筋とは|広背筋の小さな相棒
大円筋の基本情報:
① 起始
・肩甲骨下角
・肩甲骨外側縁
② 停止
・上腕骨小結節稜
・(広背筋と同じ部位)
③ 主な作用
・肩関節の内転
・肩関節の伸展
・肩関節の内旋
・(広背筋と同じ作用)
④ 神経支配
・肩甲下神経(C5-C6)
「広背筋の小さな相棒」:
大円筋と広背筋の関係:
① 共通の作用
・内転+伸展+内旋
・「3つ揃いの動作」
② 共通の停止部
・上腕骨小結節稜に停止
・連動して活動
③ サイズの違い
・広背筋=背中最大の筋
・大円筋=小さな相棒
④ 起始の違い
・広背筋=胸椎〜腰椎〜骨盤
・大円筋=肩甲骨下角のみ
「広背筋テストで大円筋もカバー」:
通常、広背筋テストで大円筋も評価されますが、本記事のテストは大円筋を選択的に評価します。
「クォドリラテラル空間」:
大円筋は四辺形腔(Quadrilateral space)の境界を形成:
① 四辺形腔の境界
・上:小円筋
・下:大円筋
・内側:上腕三頭筋長頭
・外側:上腕骨
② 通過する組織
・腋窩神経
・後上腕回旋動脈
③ 障害
・四辺形腔症候群
・大円筋の硬化が原因
・肩後面の痛み
実施方法

- 患者さんの患側上肢の手背が腰部にくるように手を後手で構えてもらい、最大限に肘を後方に引いてもらいます。
- 術者は空いてる手を使って、患側の肩関節を軽く前方から固定し、検査中、上体がぶれないようにします。
また、もう片方の手で患者の肘を後方から手を添えます。

- 術者は患者さんの頭方に向かって患側の肘に圧を加えます。
患者さんはその圧に対して肘を後方に引き続ける方向に抵抗することで大円筋の筋力を評価します。




ワンポイント
正しく測定するためのポイント:
・このテストは腹臥位で行うことも可能
・腹臥位の場合は反対側の肩を固定
・術者は弧を描くように圧を加える
・体幹の代償を防ぐ
「手背を腰部+肘を後方引き」の意味:
この肢位は大円筋を最大活動させる:
・肩関節の伸展+内旋+内転の組み合わせ
・大円筋の繊維方向に合致
・選択的な収縮
「弧を描く圧」の意味:
直線的な圧ではなく弧を描く圧:
・大円筋の繊維方向に沿った力
・正確な評価に必須
・関節の動きに沿う
注意事項:
・肩関節の痛みがある場合は中止
・過度な圧は避ける
・段階的に力を加える
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論考
判定方法:
この検査を左右両方で実施します。
弱いと感じた側の大円筋が弱化している可能性があります。
※弱化側は通常、PI腸骨側にみられ、また、同側の広背筋も合わせて弱化していることが多いようです。
左右差の意味:
・5%以上の差:要注意
・10%以上の差:明らかな弱化
・左右差なし:正常
大円筋弱化が示唆するもの:
・広背筋の同時弱化
・肩関節の機能不全
・PI腸骨(骨盤後傾)側との関連
・四辺形腔症候群のリスク
・関連臓器(脊柱)の機能低下(応用キネシオロジー的視点)
「PI腸骨側」とは:
カイロプラクティック用語:
① PI腸骨
・Posterior Inferior=後方下方
・骨盤の後傾+下方変位
・仙腸関節の機能不全
② 大円筋弱化との関連
・同側のPI腸骨
・骨盤と肩の連動
③ 評価
・腸骨上前棘の高さ
・仙腸関節の触診
「広背筋と同時弱化」の意味:
大円筋と広背筋が同時に弱化するパターン:
① 共通の作用筋
・内転+伸展+内旋
・連動した機能低下
② 一緒に評価
両者を別々にテストすることで精密な機能診断が可能。
神経リンパ反射点
応用キネシオロジー(AK)における大円筋の神経リンパ反射点:
① 第2〜第3肋骨の間
・鎖骨の下
・胸骨の中線から約7cm
② T2〜T3の横突起間
これらの部位を軽くマッサージすることで大円筋の機能を活性化できると考えられています。
関連臓器・腺
応用キネシオロジーでは大円筋は脊柱と関連すると考えられています。
「脊柱」との関連:
脊柱の役割:
・身体の中心軸
・脊髄の保護
・姿勢の基盤
・重力支持
脊柱との関連:
大円筋の弱化があるとき:
・脊柱の機能の状態のサインの可能性
・姿勢の崩れ
・腰痛の指標
・仙腸関節の問題
大円筋と脊柱の解剖学的関連:
医学的にも大円筋は脊柱と関連:
① 起始部
・肩甲骨下角
・胸椎・脊柱の高さ
② 機能
・胸郭の安定
・脊柱回旋に関与
③ 姿勢への影響
・肩甲骨と脊柱の連動
・姿勢制御
※注意:応用キネシオロジーの解釈であり、医学的に確立した因果関係ではありません。あくまで参考情報として考慮してください。
大円筋・広背筋・PI腸骨|肩と骨盤の連動
大円筋の評価で重要なのは肩と骨盤の連動:
「肩と骨盤の連動」:
人体は全身が連動して機能:
① 解剖学的連結
・胸腰筋膜
・広背筋+大臀筋
・「対角線パターン」
② 機能的連結
・右肩と左骨盤
・左肩と右骨盤
・歩行・スポーツで連動
③ 「キネティックチェーン」
・下半身→骨盤→体幹→肩
・パワーの伝達
「PI腸骨」の意味:
カイロプラクティックの基本概念:
① PI腸骨(Posterior Inferior)
・後方下方変位
・骨盤の後傾
・仙腸関節機能不全
② 反対概念:AS腸骨(Anterior Superior)
・前方上方変位
・骨盤の前傾
③ 評価
・腸骨上前棘・上後棘の高さ
・仙腸関節の動き
「同側性の機能不全」:
大円筋弱化+PI腸骨は同側に現れる:
① 機構
・胸腰筋膜の張力低下
・同側全体の機能低下
② 改善のアプローチ
・大円筋+広背筋強化
・骨盤調整
・同時治療が効果的
関連する障害:
① 慢性腰痛
・胸腰筋膜の機能不全
・骨盤の不安定
② 仙腸関節障害
・PI腸骨
・骨盤の機能不全
③ 肩関節周囲炎
・大円筋・広背筋の硬化
・結帯動作困難
④ 四辺形腔症候群
・大円筋の硬化
・腋窩神経圧迫
・肩後面の痛み
⑤ ゴルフ肘・テニス肘
・大円筋の連動
・キネティックチェーンの破綻
⑥ 投球障害肩
・大円筋+広背筋の過剰使用
・投球フォロースルーで活躍
「胸腰筋膜」の重要性:
大円筋と広背筋を繋ぐ胸腰筋膜:
① 構造
・背中の大きな筋膜
・肩〜骨盤を繋ぐ
② 関与する筋
・広背筋
・下後鋸筋
・大臀筋
・多裂筋
③ 機能
・体幹の安定
・力の伝達
・姿勢制御
④ 機能不全
・腰痛
・仙腸関節障害
・慢性疲労
改善法:
① 大円筋・広背筋強化
・ラットプルダウン
・懸垂
・ローイング
② 骨盤調整
・整体・カイロプラクティック
・骨盤底筋トレーニング
③ 胸腰筋膜のリリース
・マッサージ
・フォームローラー
・ストレッチ
④ 全身連動性
・キネティックチェーン
・機能的トレーニング
⑤ 姿勢改善
・立位・座位の意識
・1時間に1回の動き
まとめ
大円筋の筋力チェックについて解説してきた内容を整理します。
・座位で患側上肢手背を腰部+肘を後方引き
・肘に頭方への圧
・腹臥位でも実施可能
・弧を描く圧で評価
・左右比較で弱化を判定
・PI腸骨側と関連が多い
・広背筋の同時弱化が典型
・神経リンパ反射点:第2〜第3肋骨間(胸骨中線から7cm)+T2〜T3横突起間
・関連臓器(応用キネシオロジー):脊柱
・「広背筋の小さな相棒」
・四辺形腔の境界を形成
・肩甲下神経支配
・胸腰筋膜で骨盤と連動
大円筋の機能評価は肩関節の機能改善+骨盤の安定+姿勢改善+脊柱機能の参考指標として活用できます。整体・カイロ・トレーナーの現場で活用される基礎的な評価法です。日常的にもラットプルダウン+ローイング+骨盤調整+胸腰筋膜のリリースで大円筋の健康を維持しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「腰痛・肩こり」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本整形外科学会「肩関節疾患」https://www.joa.or.jp/
・日本肩関節学会「肩関節疾患」https://katakansetsu.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「投球障害肩」http://www.rinspo.jp/
・国際応用キネシオロジー学会「Manual Muscle Testing」https://www.icakusa.com/
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