三角筋の筋力チェック
この記事では、三角筋の筋力チェック方法を解説します。
・三角筋の筋力チェック手順
・正しい測定のためのポイント
・神経リンパ反射
・三角筋3部位の機能差
三角筋は「肩の三角形を作る筋」で、肩関節の最大可動域を実現する重要な筋。前部・中部・後部の3部位に分かれ、それぞれが異なる動きを担います。
三角筋とは|肩を覆う3部位の筋
三角筋の基本情報:
① 起始
・前部:鎖骨外側1/3
・中部:肩峰
・後部:肩甲棘
② 停止
・上腕骨三角筋粗面
③ 主な作用
・前部:肩関節屈曲+水平内転+内旋
・中部:肩関節外転(30〜90度の主役)
・後部:肩関節伸展+水平外転+外旋
④ 神経支配
・腋窩神経(C5-C6)
「3部位の独立した機能」:
三角筋は1つの筋でありながら3つの異なる機能を持つユニークな筋肉:
① 三角筋前部
・胸の前面から肩前面
・「押す動作」に貢献
・大胸筋上部と協調
② 三角筋中部
・肩の真横
・外転の主役(30〜90度)
・肩幅の形成
③ 三角筋後部
・肩の後面
・「引く動作」に貢献
・菱形筋・僧帽筋と協調
「肩関節外転の段階的役割」:
肩外転動作の3段階:
① 0〜30度
・棘上筋が主役
② 30〜90度
・三角筋中部が主役(本記事の評価対象)
③ 90〜180度
・僧帽筋+前鋸筋(肩甲骨上方回旋)
三角筋中部は「最も大きな外転可動域」を担当します。
「肩幅と逆三角形」:
三角筋の発達は:
・肩幅を作る
・逆三角形の体型に貢献
・男性的・スポーティな印象
・女性のシェイプアップにも有効
実施方法

- 患者さんを座位、または立位にさせ、肩関節を90度外転、肘関節を90度屈曲させます。
- 術者は患側上肢の肩の上に手を置き、もう一方の手は肘関節あたりに手を添えます。




ワンポイント
正しく測定するためのポイント:
・肩甲骨をしっかりと固定してテスト
・患者さんが上半身を前傾させない
・上腕を回旋させない
・外転90度+肘屈曲90度を維持
「肩甲骨固定」の意味:
肩甲骨を固定しないと:
・肩甲骨の代償動作
・僧帽筋・前鋸筋が活動
・純粋な三角筋テストにならない
「前傾しない」の意味:
前傾すると:
・体幹の代償
・三角筋の選択的評価困難
・体重移動で抵抗が変わる
注意事項:
・肩関節の痛みがある場合は中止
・過度な圧は避ける
・段階的に力を加える




論考
判定方法:
この検査を左右両方で実施します。
弱いと感じた側の三角筋(中部)が弱化している可能性があります。
左右差の意味:
・5%以上の差:要注意
・10%以上の差:明らかな弱化
・左右差なし:正常
三角筋(中部)弱化が示唆するもの:
・肩関節外転動作の機能低下
・肩幅・体型のアンバランス
・腋窩神経の問題
・肩関節脱臼後の機能低下
「三角筋前部・後部の評価」:
本記事では中部のテストを紹介していますが、前部・後部も独立して評価可能:
① 三角筋前部の評価
・肩関節屈曲90度
・下方への抵抗
② 三角筋後部の評価
・肩関節水平外転
・前方への抵抗
3部位を別々に評価することで精密な機能診断が可能になります。
「腋窩神経麻痺」の評価:
三角筋の弱化は腋窩神経麻痺のサインの可能性:
・肩関節脱臼後
・上腕骨外科頸骨折後
・松葉杖の使用
・外傷
特に急激な弱化では神経損傷を疑う必要があります。
神経リンパ反射点
応用キネシオロジー(AK)における三角筋の神経リンパ反射点:
① 胸骨外方
・第3・第4肋骨
② 第3・第4肋骨(背側)
これらの部位を軽くマッサージすることで三角筋の機能を活性化できると考えられています。
関連臓器・腺
応用キネシオロジーにおける三角筋と関連臓器の対応は文献により異なります。一般的に三角筋3部位はそれぞれ:
・三角筋前部=胆嚢
・三角筋中部=肺
・三角筋後部=胆嚢
との関連が研究されることがあります。
※注意:応用キネシオロジーの解釈であり、医学的に確立した因果関係ではありません。あくまで参考情報として考慮してください。
三角筋と肩関節障害・スポーツ|現代人への重要性
三角筋は多くの肩関節障害+スポーツパフォーマンスと関連:
「ローテーターカフとの関係」:
三角筋はアウターマッスルとして:
① 大きな力を発揮
・外転・屈曲・伸展の主役
② ローテーターカフ(インナーマッスル)と協調
・動的安定性はローテーターカフ
・大きな動きは三角筋
③ バランスが重要
・三角筋優位=インピンジメントのリスク
・ローテーターカフ強化と並行が理想
関連する肩関節障害:
① インピンジメント症候群
・三角筋優位のバランス
・挙上時の痛み
・「ペインフルアーク」
② 肩関節脱臼
・三角筋の急激な弱化
・腋窩神経麻痺
・反復性脱臼のリスク
③ 四十肩・五十肩
・三角筋を含む肩周囲の硬化
・可動域制限
④ 上腕骨外科頸骨折
・高齢者に多い
・三角筋麻痺合併のリスク
⑤ 肩関節周囲炎
・三角筋の機能低下
・「結帯動作」「結髪動作」困難
スポーツでの三角筋:
① 三角筋前部
・ベンチプレス
・ボクシングのパンチ
・水泳のキャッチ
② 三角筋中部
・サイドレイズ(専門種目)
・体操の吊り輪
・水泳のリカバリー
③ 三角筋後部
・リバースフライ
・ローイング
・クライミング
「3部位バランス」の重要性:
トレーニングでは3部位均等が理想:
① 現代人の偏り
・前部=強い(押す動作多い)
・後部=弱い(引く動作少ない)
・巻き肩の原因
② 推奨トレーニング比率
・前部:1
・中部:1
・後部:2(意識的に多めに)
「肩こりとの関連」:
三角筋(特に後部)の機能低下:
・巻き肩を引き起こす
・僧帽筋上部の過緊張
・肩こりの悪化
三角筋ケアは肩こり予防にも重要。
三角筋ケアの重要性:
① サイドレイズ(中部強化)
・三角筋中部の専門種目
・低重量・高回数
② リバースフライ(後部強化)
・巻き肩予防
・姿勢改善
③ フロントレイズ(前部強化)
・過剰にならないように
・バランス重視
④ ストレッチ
・クロスボディストレッチ
・柔軟性維持
⑤ ローテーターカフとの並行強化
・インナーマッスルも同時に
・バランス重視
まとめ
三角筋の筋力チェックについて解説してきた内容を整理します。
・座位または立位で肩外転90度+肘屈曲90度
・体幹方向へ圧を加えて抵抗を評価
・肩甲骨固定+前傾なし+回旋なし
・左右比較で弱化を判定
・神経リンパ反射点:胸骨外方第3・第4肋骨+同肋骨背側
・三角筋3部位(前部・中部・後部)の独立機能
・外転30〜90度の主役
・「肩の三角形」を作る
・ローテーターカフとのバランスが重要
・腋窩神経支配
・現代人は後部強化が重要
三角筋の機能評価は肩関節障害の予防+姿勢改善+スポーツパフォーマンスに直結します。整体・カイロ・トレーナーの現場で活用される基礎的な評価法です。日常的にも3部位バランス強化+ローテーターカフとの並行強化で三角筋の健康を維持しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「肩こり」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本整形外科学会「肩関節疾患・脱臼」https://www.joa.or.jp/
・日本肩関節学会「肩関節疾患」https://katakansetsu.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「肩関節障害」http://www.rinspo.jp/
・国際応用キネシオロジー学会「Manual Muscle Testing」https://www.icakusa.com/









