意識して身体を動かす上で欠かすことができない筋肉が骨格筋(こっかくきん)です。骨格筋は様々な筋肉や組織の集合体であり、骨格筋の構造を把握することでその役割をより明確に把握する事ができます。
骨格筋の微細な構造
骨格筋は筋線維(きんせんい)が多数集まってできていて、更に電子顕微鏡などで筋線維を観察するとその中に微細な筋原線維(きんげんせんい)と呼ばれる細胞の存在を数多く確認することができます。
数百個に及ぶ筋原線維が筋内膜(きんないまく)とよばれる薄い結合組織に包まれ、更に数個から数十個の筋線維が筋周膜(きんしゅうまく)という強靭な結合組織に束ねられて筋束(きんそく)になります。
筋束はさらに筋膜に埋もれて束となり、筋肉が形作られているのです。
この筋細胞の最小単位である筋原線維に、骨格筋が収縮するためのしくみが備わっています。
筋収縮のしくみ
筋原線維を構成するのは、縦横に規則正しく並んだサルコメア(筋節)で、これが連続して繋がることで筋原線維が形作られます。
サルコメアは、収縮タンパク質である『ミオシンフィラメント』と『アクチンフィラメント』が重なり合って出来ていて、また、サルコメアは筋収縮の最小単位でもあります。
フィラメント同士が力を出し合いながら滑走すること(フィラメント滑走説)によって筋収縮が引き起こされるのです。
そして筋収縮は主に脳からの収縮指令によって引き起こされます。
収縮指令が神経を通して骨格筋に到達すると、この刺激によって筋組織内にある筋小胞体(きんしょうほうたい)という部分から『カルシウムイオン』が放出されます。
放出されたカルシウムイオンの働きにより、ミオシンフィラメントとアクチフィラメントの滑走が生まれ、筋収縮の力が発揮出されるのです。
フィラメントが滑走するためには筋肉中内にある高エネルギー化合物質のATP(アデノシン三燐酸)に蓄えられているエネルギーが消費されなければなりません。
また、ATPは筋原線維の中に流れ込んだカルシウムイオンを筋原線維の外に追い出し、再び筋小胞体に送り戻すときにも関わる重要なエネルギー源でもあります。
もし、筋肉中内のATPが枯渇してしまうとカルシウムイオンを筋小胞体に送り返すことができなくなってしまうので筋肉が収縮したままになります。
これがいわゆる筋痙攣(きんけいれん)です。
死後硬直などで筋肉がカチカチに固まってしまうのはこのためです。