筋肉が肥大するメカニズム

人間の身体には、ストレスが加わると、そのストレスに耐えられるように適応する能力が備わっています。
例えば骨はランニングなどで足裏から伝わる衝撃を繰り返し受けることで、破骨細胞、骨芽細胞の働きが活性化され、骨密度が高くなることが知られています。
また、ランニングを行うことで心肺機能が向上し、毛細血管網も発達するので全身持久力が発達します。

このように筋肉(骨格筋)もまたストレス(負荷)を繰り返し与えることでそのストレスに適応し、筋力が増したり、筋肉が大きく発達するのです。

筋肉肥大を誘発するストレス

筋肉を効率よく発達させるには4つの条件を満たしてやらなければなりません。

  1. 強い筋張力(筋力)を発揮させる
  2. 乳酸を筋肉に蓄積させる
  3. 十分なタンパク質を補給する
  4. 十分な休息を取る

1.強い筋張力(筋力)を発揮させる

上記でも触れたように筋肉の筋力を増したり、筋肉を発達させるには筋肉にストレスを加えなければなりません。
この場合のストレスとは我々が普段日常生活では体験しないような負荷を身体に課すこと意味しています。
いわゆる『筋トレを行う』という意味です。
筋トレを行うことで筋肉にストレスを与え、筋力を増したり、筋肉を大きく発達(筋肥大)させることができるのです。
筋トレなどで大きな負荷を扱うことで筋肉が強い筋張力を発揮すると筋肉には人間の目では観察できないほどの傷が生じます。
傷と言っても微細な損傷なのでほおっておいても何日か経てば自然に回復する程度のものです。
これはいわゆる肉離れや、筋膜損傷といった類のものではありません。
この損傷によって起きる免疫反応などを経て、筋線維のもととなるサテライト細胞の増殖が促され筋肉が大きく発達するのです。
筋肉の損傷を効率よく促すには伸張性収縮と呼ばれる収縮様式が行われるネガティブエクササイズ(重力に逆らいながらゆっくりバーベルを降ろすなど)を行うのも効果的です。

2.乳酸を筋肉に蓄積させる

筋トレはいわゆる無酸素運動なので疲労物質である乳酸が多量に筋肉内に蓄積します。
乳酸が血液中に増えるとそれに比例し、人成長ホルモン(GH)など筋肥大を誘発するホルモンの分泌を促されるので効率良く筋肉を発達させることができます。

3.十分なタンパク質を補給する

タンパク質は窒素を構造に持つ唯一の栄養素で、筋肉や血液、髪毛、肌など様々な構成成分として働いている栄養素です。
筋肉を発達させるには十分なタンパク質を補給しなければなりません。
筋トレを行ってもタンパク質を補給してなければ効率良く筋肉をつけることができません。
タンパク質は普通の生活を過ごしている人では体重1kgあたり1.08g摂取すると良いとされていますが、筋肉量を増やしたい方では最低でも体重1kgあたり2gは摂取しなければならないと言われています。
つまり70kgの体重の人であれば1日に最低140g以上は摂る必要があるということです。

4.十分な休息を取る

筋トレを行うことによって筋肉は破壊され、それから約『24~48時間』かけて徐々に修復されると言われています。
筋肉によっても損傷した筋肉の回復時間は異なります。
大胸筋、広背筋、大腿四頭筋などは約72時間、上腕二頭筋などは48時間、腹直筋、前腕筋群、ヒラメ筋などは24時間、脊柱起立筋は96時間は修復に時間がかかると言われています。
いずれにせよ、適切な休息を与えることで損傷を受けた筋肉は修復され、トレーニング前よりも大きく発達し、筋力も増してゆきます。
これを超回復(ちょうかいふく)と言います。

以上のように筋肉を効率よく発達させるには上記の4つの条件を満たさなければならず、そのどれが欠けたとしても効率よく筋肉を発達させることはできません。

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