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梨状筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)
梨状筋(りじょうきん)とは股関節を外旋させる深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)の一つで、股関節を外旋させる作用を持った筋肉です。
梨状筋は股関節の安定性にも関与する筋肉です。
英語名称
piriformis muscle (ピリフォーミス・マッスル)
梨状筋の解説
梨状筋(りじょうきん)は大臀筋の更に深層部にある筋肉で文字通り、梨の形をした筋肉です。
梨状筋は仙骨の内側面の上位3孔の間から起始し、大腿骨の大転子に停止する筋肉です。
梨状筋は他の『深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)』と共に主に股関節の外旋動作に貢献する筋肉ですが、深層外旋六筋のうち上方に位置する筋肉でもあるので貢献度は低いものの股関節の外転動作にも関与します。
深層外旋六筋とは梨状筋をはじめ、内閉鎖筋(ないへいさきん)、外閉鎖筋(がいへいさきん)、大腿方形筋(だいたいほうけいきん)、上双子筋(じょうそうしきん)、下双子筋(かそうしきん)の総称で、主に股関節を外旋させることに大きく関わりがある筋肉群なのでしばしばそう呼ばれることがあります。
深層外旋六筋は肩関節でいうところの回旋筋腱板(ローテーターカフ)と同じように、腸骨大腿靭帯などと協力して骨頭を安定させる働きを持つ筋肉でもあります。
梨状筋下孔を通過する坐骨神経は梨状筋の絞扼を受けやすいのでその影響で時に『坐骨神経痛』が出ることがあります。
これを俗に『梨状筋症候群』と呼びます。
梨状筋症候群は梨状筋の拘縮により股関節の動きに制限(内旋)が出ている方が発症するケースが高いのですが、その他に先天的に座骨神経が梨状筋を貫いてしまっている構造の方が全体の約40%いると言われているので、こういう方ほど重度の梨状筋症候群に陥りやすいようです。
この場合、『梨状筋切開術』という手術を用いられることがあります。
梨状筋切開術とは文字通り、坐骨神経を傷つけないように確認しながら圧迫してる梨状筋を部分切開するという手術です。
このように梨状筋は殿筋群に属していて、特に中臀筋との関係が深く、梨状筋と中臀筋は癒合していることもまれではないとされています。
背臥位になりパートナーに股関節の内旋と少しの屈曲を加えることで効率良く筋肉をストレッチすることができます。
起始
仙骨の前面で第2~第4前仙骨孔の間とその外側、大坐骨切痕(だいざこつせっこん)の縁
停止
大腿骨の大転子の尖端(せんたん)内側面
梨状筋の主な働き
梨状筋を支配する神経
仙骨神経叢(L5~S2)
日常生活動作
歩行時に方向を転換したり、立位など股関節を安定させる全ての日常生活動作に関与します。
スポーツ動作
体の向きを変える際の軸足の動きに大きく貢献します。
関連する疾患
梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)、変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)、大腿骨頸部骨折(だいたいこっけいぶこっせつ)