内転筋群の筋力チェック
この記事では、内転筋群の筋力チェック方法を解説します。
・内転筋群の筋力チェック手順
・正しい測定のためのポイント
・神経リンパ反射と関連臓器
・O脚・骨盤安定との関連
内転筋群は「内ももの隠れた筋群」。大内転筋+長内転筋+短内転筋+恥骨筋+薄筋の5筋で構成され、骨盤の安定と片足立ちのバランスに重要な役割を担います。応用キネシオロジー(AK)では生殖器・生殖腺との関連も研究されています。
内転筋群とは|内ももの5筋構成
内転筋群は5つの筋の総称:
① 大内転筋(だいないてんきん)
・内転筋群の最大筋
・大臀筋に次ぐ大きさ
・内転+伸展
② 長内転筋(ちょうないてんきん)
・内転筋群の中央
・内転+わずかな屈曲
・スポーツで負傷しやすい
③ 短内転筋(たんないてんきん)
・長内転筋の下層
・内転+屈曲
・小さな筋
④ 恥骨筋(ちこつきん)
・内転筋群最上部
・内転+屈曲
・腸腰筋に近い位置
⑤ 薄筋(はっきん)
・内転筋群で最も長い
・二関節筋
・内転+膝関節屈曲
主な作用:
・股関節の内転(主作用)
・股関節の屈曲(上部繊維)
・股関節の伸展(大内転筋下部)
・骨盤の左右安定
神経支配:
・閉鎖神経(L2-L4)
・大内転筋下部のみ坐骨神経
「内転筋群」の位置関係:
5筋の位置:
・外側:恥骨筋・長内転筋
・中間:短内転筋
・深層:大内転筋
・最内側:薄筋
「外転筋の拮抗筋」:
内転筋群は外転筋(中臀筋など)の拮抗筋:
① 骨盤の左右安定
・外転筋+内転筋の綱引き
・歩行時の片足支持期に重要
② バランス
・左右対称な力
・片足立ちの安定
③ アンバランスの問題
・外転筋優位=O脚傾向
・内転筋優位=X脚傾向
・左右対称が理想
「現代人の内転筋」問題:
現代人の内転筋は機能低下+過緊張が混在:
① 長時間座位
・常に屈曲位
・恥骨筋・長内転筋の過緊張
② 運動不足
・大内転筋の機能低下
・骨盤の不安定
③ 結果として
・O脚(または機能性X脚)
・骨盤の歪み
・内ももの「たるみ」
実施方法

- 患側下肢が下向きになるよう側臥位にさせます。このとき、両下肢が体幹と一直線になるようにします。
- 術者は健側下肢を持ち上げ、片手で包み込むように膝関節を固定します。続いて患側下肢をベッドから持ち上げ、その位置で固定するよう患者に命じます。

- 術者はその位置より患側下肢をベッドに近づけるように圧迫を加えます。
患者さんはその下方への圧に対して下肢挙上位を保持することで内転筋群の筋力を評価します。




ワンポイント
正しく測定するためのポイント:
・検査する側の足先を必ず正面に向ける
・仰臥位でも実施可能
・両下肢が体幹と一直線
・体幹の代償を防ぐ
「足先を正面」の意味:
足先の向きが変わると:
・外旋位=薄筋・大内転筋の関与
・内旋位=恥骨筋の関与
・正面=純粋な内転筋群テスト
「健側下肢の固定」:
患者の安定を高める:
・術者が健側を支える
・体幹のぶれを防ぐ
・純粋な評価
「仰臥位バリエーション」:
仰臥位でも実施可能:
・患者の負担軽減
・腰痛がある場合に有用
注意事項:
・股関節の痛みがある場合は中止
・過度な圧は避ける
・段階的に力を加える




論考
判定方法:
この検査を左右両方で実施します。
弱いと感じた側の内転筋が弱化している可能性があります。
通常、内転筋の片側だけ弱いと弱い側の骨盤が下がります。両側が弱いとO脚の原因にもなります。
左右差の意味:
・5%以上の差:要注意
・10%以上の差:明らかな弱化
・左右差なし:正常
内転筋群弱化が示唆するもの:
① 片側弱化
・弱い側の骨盤沈下
・骨盤の歪み
・仙腸関節障害
② 両側弱化
・O脚の原因
・骨盤の不安定
・歩行能力低下
③ 連鎖的問題
・変形性膝関節症(内側型)
・慢性腰痛
・関連臓器(生殖器・生殖腺)の機能低下(応用キネシオロジー的視点)
「O脚」の解剖学:
両側内転筋群弱化によるO脚:
① 機構
・内転筋群弱化=大腿を内側に引けない
・外転筋優位
・「足の間が開く」
② 影響
・膝の内側に負担集中
・変形性膝関節症(内側型)
・「日本人に多い」パターン
③ 改善
・内転筋強化
・外転筋とのバランス
「内転筋の弱化と過緊張」:
内転筋群特有の問題:
① 機能低下(弱化)
・運動不足
・O脚のリスク
② 過緊張(短縮)
・長時間座位
・恥骨筋・長内転筋
・グロインペイン症候群のリスク
③ 評価の意義
・弱化と過緊張の両方を評価
・適切な治療方針を選択
神経リンパ反射点
応用キネシオロジー(AK)における内転筋群の神経リンパ反射点:
乳頭の後ろ側、肩甲骨の下角
この部位を軽くマッサージすることで内転筋群の機能を活性化できると考えられています。
関連臓器・腺
応用キネシオロジーでは内転筋群は生殖器及び生殖腺と関連すると考えられています。
「生殖器・生殖腺」とは:
役割:
・生殖機能
・性ホルモン分泌
・骨盤底機能と協調
生殖器・生殖腺との関連:
内転筋群の弱化があるとき:
・生殖機能の状態のサインの可能性
・骨盤底機能の指標
・骨盤内臓の状態
骨盤底筋との連動:
医学的にも知られている関連:
① 解剖学的位置
・内転筋群は骨盤底に近い
・骨盤底筋と協調
② 機能の連動
・内転筋+骨盤底筋=骨盤の総合安定
・尿失禁・骨盤内臓下垂の予防
③ 産後・更年期
・両筋の機能低下
・内転筋トレーニングが有効
※注意:応用キネシオロジーの解釈であり、医学的に確立した因果関係ではありません。あくまで参考情報として考慮してください。
内転筋群と骨盤安定・グロインペイン症候群|現代人の問題
内転筋群は多くの問題と関連:
「グロインペイン症候群」とは:
スポーツ選手で多発する障害:
① 病態
・鼠径部痛
・内転筋付着部炎
・恥骨炎
② 主な症状
・鼠径部・内ももの痛み
・キック動作で悪化
・方向転換で痛む
③ 好発
・サッカー選手に多い
・ホッケー・ラグビー
・長距離ランナー
④ 原因
・内転筋群の過緊張
・体幹安定不足
・左右非対称
⑤ 治療
・休息
・ストレッチ
・体幹強化
・フォーム改善
「内転筋肉離れ」:
急性の内転筋障害:
① 病態
・内転筋(特に長内転筋)の急性損傷
・「コキッ」と音
② 好発
・サッカー・スプリント
・急な方向転換
・過剰なストレッチ
③ 症状
・内ももの激痛
・歩行困難
・内出血
④ 治療
・RICE処置
・段階的リハビリ
「現代人の内転筋」問題:
現代生活で内転筋は機能低下+過緊張:
① 長時間座位
・常に屈曲位
・恥骨筋・長内転筋の過緊張
② 運動不足
・大内転筋の機能低下
・内もものたるみ
③ 結果として
・O脚(または機能性X脚)
・骨盤の歪み
・歩行能力低下
関連する障害:
① グロインペイン症候群
・前述
② 内転筋肉離れ
・前述
③ 変形性膝関節症(内側型)
・O脚
・軟骨摩耗
④ 骨盤の歪み
・左右非対称
・仙腸関節障害
⑤ 慢性腰痛
・骨盤の不安定
・連鎖的な負担
⑥ 鵞足炎
・薄筋+半腱様筋+縫工筋の付着部炎
・膝内側の痛み
⑦ 産後の骨盤底機能低下
・内転筋+骨盤底筋の同時弱化
・尿失禁のリスク
改善法:
① 内転筋強化
(a) ボールスクイーズ
・仰向け+膝立て
・膝の間にボールを挟む
・5秒キープ
・15回×3セット
(b) サイドランジ
・足を肩幅の2倍に開く
・片方の膝を曲げる
・10回×3セット×左右
(c) ヒップアダクション(マシン)
・マシン使用
・内転筋の総合強化
(d) コペンハーゲンアダクション
・サイドプランク姿勢
・サッカー選手向け
② 内転筋ストレッチ(過緊張対策)
(a) 開脚ストレッチ
・床に座る+足を開く
・30秒×3回
(b) 蝶のポーズ(ヨガ)
・足裏を合わせる
・膝を床に下ろす
③ 骨盤底筋トレーニング
・ケーゲル体操
・内転筋との並行
④ 外転筋とのバランス
・中臀筋強化
・クラムシェル
⑤ 体幹強化
・プランク
・サイドプランク
⑥ 早期受診
・持続する鼠径部痛
・整形外科へ
まとめ
内転筋群の筋力チェックについて解説してきた内容を整理します。
・側臥位で患側下肢が下向き+健側下肢挙上+患側下肢挙上
・下方への圧に対して挙上位を保持
・足先正面を維持
・仰臥位でも実施可能
・左右比較で弱化を判定
・片側弱化=弱い側の骨盤沈下
・両側弱化=O脚
・神経リンパ反射点:乳頭の後ろ側、肩甲骨の下角
・関連臓器(応用キネシオロジー):生殖器及び生殖腺
・「内ももの隠れた筋群」
・大内転筋+長内転筋+短内転筋+恥骨筋+薄筋の5筋
・外転筋の拮抗筋
・骨盤底筋と連動
・閉鎖神経支配
・グロインペイン症候群の中心
・O脚予防に重要
内転筋群の機能評価は骨盤安定+O脚予防+グロインペイン症候群予防+骨盤底機能+生殖機能の参考指標として活用できます。整体・カイロ・トレーナーの現場で活用される基礎的な評価法です。日常的にもボールスクイーズ+サイドランジ+開脚ストレッチ+骨盤底筋トレーニングで内転筋群の健康を維持しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「ロコモティブシンドローム」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本整形外科学会「股関節疾患・スポーツ障害」https://www.joa.or.jp/
・日本股関節学会「股関節疾患」http://www.hipjoint.jp/
・日本臨床スポーツ医学会「グロインペイン症候群」http://www.rinspo.jp/
・国際応用キネシオロジー学会「Manual Muscle Testing」https://www.icakusa.com/










