大腿四頭筋(広筋群)の筋力チェック
この記事では、大腿四頭筋(広筋群)の筋力チェック方法を解説します(仰臥位バリエーション)。
・広筋群の筋力チェック手順(仰臥位)
・正しい測定のためのポイント
・神経リンパ反射と関連臓器
・座位テストとの違い
広筋群は「膝伸展の3兄弟」。内側広筋+外側広筋+中間広筋で構成され、大腿直筋とともに大腿四頭筋を形成します。本記事では仰臥位でのテスト方法を解説します。応用キネシオロジー(AK)では小腸との関連も研究されています。
広筋群とは|膝伸展の3兄弟・単関節筋
広筋群は3つの単関節筋:
① 内側広筋(ないそくこうきん)
・大腿前面内側
・VMO(内側広筋斜頭)が重要
・膝の安定に貢献
② 外側広筋(がいそくこうきん)
・大腿前面外側
・最大の大腿四頭筋
・パワーの主役
③ 中間広筋(ちゅうかんこうきん)
・大腿直筋の下層
・最深層
主な作用:
・膝関節の伸展(単関節筋)
・大腿直筋(二関節筋)と協調
神経支配:
・大腿神経(L2-L4)
「単関節筋」としての特徴:
広筋群は大腿直筋と異なり単関節筋:
① 膝伸展のみに作用
・純粋な膝伸展
・股関節屈曲には関与しない
② 仰臥位テストの意義
・股関節屈曲位で大腿直筋の関与を抑制
・純粋な広筋群のテスト
「VMO」の重要性:
内側広筋斜頭(VMO)は近年特に注目:
① 役割
・膝蓋骨の安定
・膝の最終伸展
・外側偏位防止
② 機能低下の影響
・膝蓋骨の外側偏位
・膝蓋大腿関節症
・膝の前面痛
③ 鍛え方
・膝完全伸展位での収縮
・股関節外旋させた状態
実施方法

- 患者さんをベッドに仰向けに寝かせます。このとき患側の膝がベッドの端から少し出るように(膝の角度が90度屈曲できる位置)身体の位置を調整します。
左右どちらかの膝を伸展させた状態で固定します。 - 術者は一方の手を大腿部の上に、もう一方の手は足首あたりに置きます。

- 術者はその位置より足首をベッドに向けて圧迫を加えます。
患者さんはその下方への圧に対して膝伸展位を保持することで広筋群の筋力を評価します。




ワンポイント
正しく測定するためのポイント:
・内側広筋・外側広筋の筋力差を調べる場合は股関節を内外旋
・膝90度屈曲可能な位置に身体を調整
・大腿は固定
・体幹の代償を防ぐ
「広筋別評価」の方法:
各広筋を個別に評価する方法:
① 内側広筋(VMO)テスト
・股関節を外旋
・つま先を外向き
・内側広筋を選択的に活動
② 外側広筋テスト
・股関節を内旋
・つま先を内向き
・外側広筋を選択的に活動
③ 中間広筋テスト
・中立位
・大腿直筋と中間広筋の同時活動
これにより「内外バランス」の評価が可能。
「仰臥位の利点」:
仰臥位でテストする利点:
① 大腿直筋の関与を抑制
・股関節屈曲位で大腿直筋の機能低下
・純粋な広筋群のテスト
② 患者の負担軽減
・座位より楽
・高齢者に適する
③ 体幹安定
・ベッドが体幹を支える
・代償動作を最小化
注意事項:
・膝関節の痛みがある場合は中止
・過度な圧は避ける
・段階的に力を加える




論考
判定方法:
この検査を左右両方で実施します。
弱いと感じた側の大腿四頭筋(広筋)が弱化している可能性があります。
大腿四頭筋の片側だけ弱いと弱い側の骨盤がPI(後下方)変位し、更に弱い側の骨盤が沈下します。両側が弱いとフラットバックの原因になります。
左右差の意味:
・5%以上の差:要注意
・10%以上の差:明らかな弱化
・左右差なし:正常
広筋群弱化が示唆するもの:
① 片側弱化
・弱い側のPI腸骨
・骨盤沈下
・仙腸関節障害
② 両側弱化
・フラットバック(平背)
・腰椎前弯消失
・姿勢の崩れ
③ 連鎖的問題
・歩行能力低下
・変形性膝関節症のリスク
・関連臓器(小腸)の機能低下(応用キネシオロジー的視点)
「VMO選択的弱化」:
膝関節障害で多い問題:
① VMO弱化のサイン
・内側広筋のみ凹む
・膝蓋骨の外側偏位
・膝の前面痛
② 評価
・視診で内側広筋の凹み
・触診で筋緊張差
「外側広筋優位」の問題:
ランナー・スポーツ選手で多い:
① 外側広筋+大腿筋膜張筋の優位
・膝外側の張力増加
・腸脛靭帯炎のリスク
② 内側広筋の機能低下
・膝の不安定
・膝痛
③ バランスが重要
・内側広筋強化
・外側広筋ストレッチ
神経リンパ反射点
応用キネシオロジー(AK)における大腿四頭筋(広筋群)の神経リンパ反射点:
膝のすぐ上から大腿内側の約10cm
T8〜T11の椎間板間
これらの部位を軽くマッサージすることで広筋群の機能を活性化できると考えられています。
関連臓器・腺
応用キネシオロジーでは大腿四頭筋(広筋群)は小腸と関連すると考えられています。
「小腸」との関連:
小腸の役割:
・消化・吸収の中枢
・栄養の吸収
・免疫機能(パイエル板)
小腸との関連:
広筋群の弱化があるとき:
・消化機能の状態のサインの可能性
・栄養吸収の指標
・「お腹の調子」と関連
・食事内容の見直しも検討
東洋医学との関連:
東洋医学では:
・胃経が大腿前面を通る
・「気の流れ」と消化機能
・応用キネシオロジーの基礎
※注意:応用キネシオロジーの解釈であり、医学的に確立した因果関係ではありません。あくまで参考情報として考慮してください。
仰臥位テストvs座位テスト|広筋群の選別評価
広筋群のテストには仰臥位(本記事)と座位の2つのバリエーションがあります:
「仰臥位テスト」の特徴:
① 利点
・大腿直筋の関与を抑制
・純粋な広筋群のテスト
・患者の負担軽減
・体幹安定
② 欠点
・機能的姿勢とは異なる
・セッティングに時間がかかる
③ 適応
・純粋な広筋群評価
・高齢者・体力低下者
・術後リハビリ
「座位テスト」の特徴:
① 利点
・機能的な姿勢
・大腿四頭筋全体のテスト
・セッティングが簡単
② 欠点
・大腿直筋も同時に活動
・純粋な広筋群評価困難
・体幹代償のリスク
③ 適応
・大腿四頭筋全体評価
・機能評価
・スポーツ選手
「使い分け」のポイント:
① 純粋な広筋群評価
・仰臥位(本記事)を選択
② 全体評価
・座位を選択
③ 両方の併用
・大腿直筋と広筋群の機能差を評価
・精密な診断
関連する膝関節障害:
① 変形性膝関節症
・広筋群(特にVMO)の弱化
・膝関節の不安定
② 膝蓋大腿関節症
・VMO弱化
・膝蓋骨の外側偏位
③ ACL損傷
・広筋群強化がリハビリの中心
・VMOの選択的強化
④ 半月板損傷
・術後リハビリ
・広筋群の機能回復
⑤ ジャンパー膝
・膝蓋腱炎
・VMO+大腿筋膜張筋のバランス
⑥ 大腿四頭筋セッティング
・術後の基本リハビリ
・広筋群の活性化
改善法:
① VMO選択的強化
(a) 内側広筋セッティング
・仰臥位
・膝下にタオル
・膝を伸展+つま先を外
・5秒×10回×3セット
(b) ターミナルニーエクステンション
・椅子に座る
・膝の最終伸展を反復
② 広筋群総合強化
(a) レッグエクステンション
・椅子に座る
・片足を伸ばす
(b) ウォールスクワット
・壁に背中をつける
・膝90度キープ
(c) スクワット
・全身運動
・機能的強化
③ ハムストリングスとのバランス
・レッグカール
④ 階段昇降
・低い段差から
・機能的強化
⑤ 早期受診
・持続する膝痛
・整形外科へ
まとめ
大腿四頭筋(広筋群)の筋力チェックについて解説してきた内容を整理します。
・仰臥位で膝がベッド端から90度屈曲位+伸展
・足首に下方への圧に対して保持
・大腿直筋の関与を抑制=純粋な広筋群評価
・股関節内外旋で広筋別評価
・左右比較で弱化を判定
・片側弱化=弱い側PI腸骨+骨盤沈下
・両側弱化=フラットバック
・神経リンパ反射点:大腿内側10cm+T8〜T11椎間板間
・関連臓器(応用キネシオロジー):小腸
・「膝伸展の3兄弟」
・内側広筋+外側広筋+中間広筋の3筋
・「単関節筋」として膝伸展のみ
・VMOが膝の安定の鍵
・大腿神経支配
・仰臥位テスト=広筋群選別評価
・座位テスト=大腿四頭筋全体評価
広筋群(仰臥位)の機能評価は純粋な広筋群評価+膝関節安定+変形性膝関節症予防+術後リハビリに直結します。整体・カイロ・トレーナーの現場で活用される基礎的な評価法です。日常的にも内側広筋セッティング+ターミナルニーエクステンション+スクワットで広筋群の健康を維持しましょう。
参考文献・出典
・厚生労働省 e-ヘルスネット「ロコモティブシンドローム」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
・日本整形外科学会「変形性膝関節症」https://www.joa.or.jp/
・日本膝関節学会「膝関節疾患」http://www.jks.gr.jp/
・日本理学療法士協会「膝関節リハビリテーション」https://www.japanpt.or.jp/
・国際応用キネシオロジー学会「Manual Muscle Testing」https://www.icakusa.com/










