筋肉はすべての活動の源となる組織で、筋線維(筋細胞)と呼ばれる細胞の束が多数集まって構成されています。
筋肉が活動するためには筋中内にある高エネルギー化学物質のATP(アデノシン三燐酸)がADP(アデノシン二燐酸)とP(燐酸)に分解されなければなりません。
このときに生じるエネルギーを使うことにより筋肉は始めて活動することができるのです。
体内にある筋肉はその役割によって下記のようにまず2種類に大別することができます。
- 横紋筋(心筋、骨格筋)
- 平滑筋
横紋筋と平滑筋の特徴
筋肉は、微細な縞模様(横紋構造)をもつ『横紋筋(おうもんきん)』と、縞模様をもたない『平滑筋(へいかつきん)』に大別することができます。
横紋筋は横紋と呼ばれる独特の細い線維が外見上連なって見えるのが特徴で、平滑筋ではそれを確認することはできません。
さらに横紋筋は、主に骨に付着して関節運動を引き起こす『骨格筋(こっかくきん)』と心臓を動かす『心筋』に分類することができます。
骨格筋は単に筋肉と呼ばれることが多く、また、自らの意志で手足などを自由に動かせることから随意筋(ずいいきん)と呼ばれることもあります。
しかし、同じ横紋筋でも心筋は骨格筋と異なり、自律神経によって制御されていて、自由に動かすことができないので不随意筋(ふずいいきん)とも呼ばれます。
平滑筋は心臓を除く内臓や消化器官、血管などを構成する筋なので『内臓筋』と呼ばれることもあります。
平滑筋は心筋と同じく自律神経によって制御されている筋肉なので、心筋と同様、自分の意志で自由に動かすことができないので不随意筋(ふずいいきん)に分類されます。
骨格筋の分類とその特徴
骨格筋には更に形状による分類法があります。
筋肉が起始から停止まで枝分かれしない筋を『単頭筋(たんとうきん)』と呼び、途中から二つに分かれる筋を『二頭筋(にとうきん)』、三つに分かれる筋を『三頭筋(さんとうきん)』、四つに分かれる筋を『四頭筋(しとうきん)』と呼びます。
例えば、大腿部前面には大腿四頭筋(だいたいしとうきん)と呼ばれる筋肉があるのですが、それは内側広筋、外側広筋、中間広筋、大腿直筋と呼ばれる四つの『頭(ヘッド)』で構成されているからです。
さらに、両端が細く、中央部が太くなっている骨格筋を『紡錘状筋(ぼうすいじょうきん)』、長い腱の両側に短い筋線維が斜め方向に並んでいて鳥の羽のような形をした骨格筋を『羽状筋(うじょうきん)』、羽状筋が半分になったような形をした骨格筋を『半羽状筋(はんうじょうきん)』、四辺形をしていて薄い骨格筋を『方形筋』と呼ぶ分類法もあります。
例えば、上腕部前面にある上腕二頭筋は紡錘状筋、大腿部前面にある大腿直筋(大腿四頭筋のひとつ)は羽状筋、大腿部後面にある半膜様筋は半羽状筋、僧帽筋は方形筋に分類されます。
ほかにも、ひとつの関節のみを動かす『単関節筋』と、二つ以上の関節の動きに関与する『二関節筋』(2つ以上を多関節筋と呼びます)に分ける分類法もあります。
この分類法でいうと、①の腕橈骨筋は単関節筋に分類され、②の上腕二頭筋は二関節筋に分類されます。
前腕部にある深指屈筋(しんしくっきん)などは手関節と手指の3つの関節をまたがっているので多関節筋に分類されます。
関節をより多くまたがった筋肉ほど細やかで繊細な動きができるのです。
以上のように筋には一般的にイメージされるような筋肉(骨格筋)だけでなく、構造から役割、形状に至るまで様々な種類や分類法が存在します。