上腕二頭筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)とは力こぶを形成する筋肉の一つで長頭(ちょうとう)、短頭(たんとう)の二頭で構成されています。
上腕二頭筋の長頭は肩甲骨の関節上結節(かんせつじょうけっせつ)から起こり、肩関節の関節腔を貫いて結節間溝(けっせつかんこう)を下降し、短頭は長頭の内側にあって烏口突起(うこうとっき)から起こり、両者相合して上腕の前面を下行して橈骨(とうこつ)上端の橈骨粗面に付着しています。
このように上腕二頭筋は肘関節と肩関節の2つの関節をまたがっているので二関節筋と呼ばれています。(橈尺関節も加えて三関節筋と呼ばれることもあります)
上腕二頭筋は特に前腕が回外しているときに肘関節の屈曲の主働筋として大きな力を発揮し、肘関節が屈曲している状態は前腕の回外動作で大きな力を発揮します。
逆に、前腕が回内すると橈骨が回転してこの筋肉の停止部がずれるので、屈曲力は弱まります。
更に上腕二頭筋はローテーターカフと共に上腕骨頭を肩甲骨の関節窩に接合させ、肩の前方の安定性にも貢献します。
わずかに肩関節の屈曲にも関与しますが、この動作ではあくまでも上腕二頭筋は補助的な役割しか果たしていません。
また、上腕二頭筋長頭はトレーニングなどで非常に痛めやすい場所としても知られています。
例えば、インクライン・ダンベルカールと呼ばれる種目がありますが、運動実施の際、インクラインベンチの角度をあまり倒し過ぎてしまうとダンベルカールを行う際に上腕二頭筋の長頭腱で大きなストレスがかかる場合があります。
ベンチプレスを行う際、肩甲骨の寄せ(内転)があまいとやはり長頭腱で大きなストレスがかかります。
これが原因で上腕二頭筋長頭腱炎や上腕二頭筋長頭腱断裂、上腕二頭筋長頭腱脱臼を発症してしまうことがあります。
因みに上腕二頭筋長頭腱炎は肩関節周囲炎の病態の一つです。
上腕二頭筋の起始停止
起始①上腕二頭筋長頭:肩甲骨の関節上結節(かんせつじょうけっせつ)
起始②上腕二頭筋短頭:肩甲骨の烏口突起(うこうとっき)先端
停止①上腕二頭筋長頭:橈骨粗面(とうこつそめん)
停止②上腕二頭筋短頭:上腕二頭筋腱膜を介して前腕筋膜に停止
上腕二頭筋の役割と作用
上腕二頭筋は運動動作においては主に肘関節の屈曲、肩関節の屈曲(主に長頭)、水平内転(主に短頭)、前腕部の回外動作に関与しています。
上腕二頭筋を支配する神経
上腕二頭筋を支配する筋肉は筋皮神経(C5~C6)です。
日常生活動作
上腕二頭筋は日常生活の中では肘を曲げ、物を持つ動作などに主に関与します。
スポーツ動作
上腕二頭筋はダンベル、バーベルなどを巻き上げる動作などに大きく貢献します。
関連する疾患
上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)、肩上方関節唇損傷(けんじょうほうかんせつしんそんしょう)、上腕二頭筋長頭腱断裂(じょうわんにとうきんちょうとうけんだんれつ)、上腕二頭筋長頭腱脱臼(じょうわんにとうきんちょうとうけんだっきゅう)
その他の上腕部の筋肉
【上腕三頭筋・烏口腕筋・上腕筋・肘筋】