棘上筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)

棘上筋

棘上筋の作用と役割(起始停止・神経支配・筋トレメニューなどを徹底解剖)

棘上筋(きょくじょうきん)とは三角筋(さんかくきん)とともに肩関節の外転に作用する筋肉です。
また棘上筋は肩関節の安定性を保つ作用を持つ筋肉でもあります。
棘上筋の腱はしばしば肩峰と上腕骨頭に挟まれて損傷することがあります。

英語名称

supraspinatus muscle (スープラスパィネィタス・マッスル)

棘上筋の解説

棘上筋(きょくじょうきん)は肩関節の安定性を保つ働きを果たしている筋肉群、ローテーターカフ(ローテーターカフとは棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋など、肩関節の安定性を高めている筋肉群の総称です)の一つです。
棘上筋は四つの筋肉の中では機能上、最も重要な筋肉と言われていますが、同時に最も傷害を受けやすい筋肉でもあります。
肩関節の安定性が悪くなってしまうと、棘上筋の腱(棘上筋腱:きょくじょうきんけん)の部分でしばしば炎症を起こしてしまうことがあります。

インピンジメント症候群

インピンジメント症候群

これを俗に『インピンジメント症候群』といいます。
インピンジメント症候群とは主に棘下筋(きょっかきん)、小円筋(しょうえんきん)の筋力低下により上腕骨の位置が上方にずれてしまい、棘上筋腱が肩峰(けんぽう)や烏口肩峰靭帯(うこうけんぽうじんたい)に挟まれ腱が圧迫されてしまった状態をいいます。

このように棘上筋腱はしばしば強いストレスを受けるのでこの部分で炎症を起こしてしまうことがあります。
インピンジメント症候群は初期の頃は手が真横に挙げづらいといった症状程度で済みますが、重症化すると何をしていても痛く、仰向けや、横向きの姿勢(痛い側の肩を下にして)で寝ることすらできなくなることもあります。
インピンジメント症候群は筋力低下で発症することが多いのですが、転んで手をついた衝撃で症状を併発してしまうこともあります。
インピンジメント症候群の典型的な症状としては手を真横に挙げたり、結帯(手を腰の後ろにまわす)、結髪(手を後頭部にもっていく)といった動作をしようとすると肩先あたりに激痛が走るようになります。
棘上筋腱はしばしば完全に断裂してしまうことがありますが、その場合は機能の再獲得のために手術をしなければなりません。
各種スポーツ傷害肩(投球動作、水泳など)の大きな原因にもなるので、このようなことを避けるためにも日頃からローテーターカフ(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の総称)を十分に鍛えておくことが大切になります。
なかでもエンプティカン・エクササイズという運動は棘上筋を筋肉を鍛えるのに有効だといわれています。(缶ジュースの中身を捨てるような動作をすることからこの名称が付けられました)
棘上筋をストレッチするためには肩関節を内旋、伸展させ、腕を背後にまわしながら内転させることで効果的に引き延ばすことができます。
棘上筋は運動動作においては三角筋(中部)とともに肩関節の外転動作に関与しますが、棘上筋は骨頭中心からの距離が非常に短いため外転としての作用は三角筋ほど強くはありません。
むしろ棘上筋は肩関節を外転させるときに上腕骨の骨頭を肩甲骨の関節窩に引きつけておくという『支点形成力』の発揮に大きく貢献しています。

起始

肩甲骨の棘上窩(きょくじょうか)

停止

上腕骨の大結節(だいけっせつ)上部、肩関節包(かんせつほう)

棘上筋の主な働き

kata2 
運動動作においては肩関節外転外旋させる作用があります。

棘上筋を支配する神経

肩甲上神経(C5~C6)

日常生活動作

三角筋と協力して物を横方向に持ち上げるときに作用します。

スポーツ動作

投球動作などで腕を振りぬく際のブレーキ動作などに貢献します。

関連する疾患

腱板損傷(けんばんそんしょう)、腱板炎(けんばんえん)、肩峰下インピンジメント症候群、肩関節不安定症(けんかんせつふあんていしょう)、肩甲上神経麻庫(けんこうじょうしんけいまひ)など

代表的なウエイトトレーニングとストレッチ

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その他の肩部・背部の筋肉

三角筋広背筋大円筋ローテーターカフ(小円筋棘下筋肩甲下筋)・僧帽筋(僧帽筋上部線維僧帽筋中部線維僧帽筋下部線維)・外内肋間筋前鋸筋肩甲挙筋菱形筋群(大菱形筋小菱形筋)】

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当サイトの編集長の佐藤伸一(さとうしんいち)です。
都内でスポーツトレーナーとして約20年活動し、その後、カイロプラクターとして約10年活動していました。
現在はフリーランスで活動していて主に健康や運動に関する情報を発信しています。

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